出来た弟 日和
3-3話です。
「愛想尽かされるって……一体何したんだよ?」
「言っても引かない?」
私はオオカミのぬいぐるみで顔を隠し、チラリと伺うようにしながら日和に尋ねる。
「内容にもよると思うけど……ま、姉ちゃんのやることなんて想像つくから大丈夫だろ」
「真守を四つん這いにして、ペット扱いして上に乗って首輪を付けた」
「ごめん、想像以上の話でドン引きだわ。
え、なに?……そういう性癖のプレイして遊んでるの?」
「いやいや、そうじゃないよ!
ただ、真守が動けない状態だったから調子に乗り過ぎたっていうか……」
「いくら何でもそんなドSな……って、思ったけど、姉ちゃんって割と好きな人にちょっかいかけるタイプだったな。
やり過ぎだとは思うけど納得した気がする」
日和は何か思い出したのか、1人で納得してうんうんと頷いている。
「納得するのはいいとして、どうしたらいいと思う?
真守に嫌われたら生きてけないよ……」
「うーん、これは俺の意見なんだけど、姉ちゃんのエスっ気なんて師匠はとっくにお見通しだと思うんだよな。
昔っから色々とちょっかい出されてたし」
「え?私、なんかしてた?」
「自覚無しなのかよ……まぁ、とにかくだけど、師匠はそれを全部受け止めて許した上で愛情持って接してた訳だよ。
そんな師匠が、それくらい……って言うにはやらかしてるけど、そんな程度で愛想尽かすと思わないんだよな」
日和は必死に悩みながらも答えを絞り出すように話を続けていく。
「それじゃ、どうして真守はいなくなっちゃってるの?」
「それを俺に聞かれても……でも、アレだよ。
師匠はいつも姉ちゃん第一で行動してるから、きっとこれも姉ちゃんの為なんだよ……多分」
「……そっか。
可愛い弟がそう言うんだったら信じてみようかな」
「そうそう、それに姉ちゃんももっと師匠を信じた方がいいよ。
あの人は絶対に姉ちゃんを裏切ったりしないって」
自信満々に言う日和を見ていると本当にそんな気がしてくる。
こうして2人で笑い合った時であった。
「日向!
不浄が発生したぞ」
何処からともなく部屋の中にリルが現れた。
「時間は止めておいたコン。
変身して不浄討伐に向かうコン」
リルが来た事でコンも姿を現す。
真守がいない以外はいつも通り……の筈であったのだが……
「何で姉ちゃんの部屋にでっかい犬がいて喋ってるんだ……それにもう1匹喋る生き物がいるけど……姉ちゃん、これは一体何なんだ?」
本来時間が止まっているはずの日和は普通に動いており、更にリルとコンを認識していたのだった。