表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/165

いつか、私を超えるまで

4-4話です。

「ね、姉ちゃん……もう大丈夫だから」


落ち着いた日和の言葉を聞き、今度は力を抜いて日和を離す。


「その様子なら本当に大丈夫そうだな。

良い面構えになったぞ」


「師匠もありがとうございました」


そう言って日和は真守に頭を下げる。


「2人が仲直りしたならそれでいいさ。

所で側衛の事なんだが……」


「そばえ……」


名前を聞いた途端に深刻な顔をして俯く。


やはり、今回の出来事は日和の中に大きなトラウマとなってしまったのかもしれない。


そう考えたのだが……


「すいません、思い出そうとしたのですが誰の事か分かりません。

誰の話ですか?」


と、本当に何も分からないという顔で答えてきた。


「記憶にない?

ここまでで何か覚えていることはあるか?」


「えっ……家から飛び出した後は暫く彷徨って……疲れて寝ちゃってたんですかね?

起きたらここにいたって感じです」


「そうか……さっきの話は忘れてくれ。

どうも、俺の勘違いだったらしい」


「はぁ……それなら別にいいんですが」


「それよりも今日はもう遅い……親御さんも心配しているだろから2人で気をつけて帰りなさい」


「あ、そうだね。

ちょっとお母さんに連絡入れる……あ、お母さん?

日和見つかったから一緒に帰るね」


私はスマホを取り出して家に連絡を入れる。


お母さんは特に心配した様子もなく、ご飯を作って待ってると言ってくれた。


「じゃあ、一緒に帰ろうか。

ほら……手出して」


「あ、うん。

それじゃ、また稽古の時はよろしくお願いします」


「ああ、気をつけてな」


こうして私と日和は道場を出て家に向かった。


こうして2人で家に帰るのはいつぞやの気不味い帰り道以来だ。


だが、今回は2人で手を繋いで取り止めのない話をする。


そうして、間もなく家に着くと言う時であった。


「姉ちゃん」


「どうしたの、日和?」


急に呼ばれて日和の方を見る。


「俺、姉ちゃんと師匠のこと応援してる。

普通の人達は変だって言うかもしれない……でも、俺はずっと姉ちゃんと師匠の味方だから」


「そっか、ありがと」


私は空いている方の手で日和の頭を撫でた。


例え今回の出来事の記憶が無くなろうとも、日和は男として一つ成長したのだろう。


その事が姉として堪らなく嬉しく思った。


それと同時にいつかはTSする前の私を超えて立派な男性へと成長していくのだろう。


そんな成長した日和の姿を思い浮かべながらも、今はまだ……もう少しだけ可愛い弟を甘やかせることに感謝するのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ