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そばえ

今日は土曜日なので4話更新します。

先ずは1話目。

ぱちぱちと拍手の音が聞こえる。


そちらの方を振り向くと涙を流しながらも笑顔を保つ少女の姿があった。


「いや〜素晴らしい!

感動的な姉弟愛を見せてもらったよ。

これはサービス……二人ともその姿のまま抱き合ってるのも外聞が悪いでしょ?」


少女がそう言って指を鳴らすと私には学校の制服。


日和には道着が着せられた。


たしかに気が付かなかったがお互い裸のままで抱きしめあっていたので問題はあったのかもしれないが……


「今更貴女の服なんて怖くて着れる訳ないでしょ!」


「側衛……お前は一体何者なんだ」


「やれやれ、要求は一つずつにして欲しいものだけど……仕方ないね。

先ずお姉さんの方だけど……さっきも話したけど僕は加護を与えただけで他には何もしていない」


「ふざけないで!

貴方が何もしていないのにあんな風になる訳ないでしょ」


尚も抗議するのだが、少女はやれやれと両手を上げて呆れた顔を作る。


「繰り返し話すけど僕は何もしていない……ただ、僕の加護は心の欲望に素直になりやすい性質があるんだよ。

お姉さんがあれだけ暴れ回ったのは、自分自身の心に素直になっただけさ……前に言ったでしょ。

お姉さんは真性のドSだって」


「ぐっ……」


何か反論しようと思ったが出来ない……あの状態が私の破壊衝動を増幅させただけと言われれば否定が出来なかったからだ。


「次に日和の質問だけど、シンプルな話だね。

僕は僕だよ……君がよく知っている[そばえ]さ。

でも折角だから名前の漢字だけは改めさせてもらおうかな。

僕の名前は(そばえ)……読みの通りに面白可笑しく生きる事にしか興味がない存在さ」


少女がそう言うと、何もない空間に戯という字がデカデカと出現する。


少女の宣言に絶句する……確かに世界の全てを嘲るような少女だとは思っていた。


快楽しか頭にないよう人物だと思っていた。


それをこうまでハッキリと宣言されるとは思っていなかったのだ。


きっと、そう見える裏側で何かの狙いがあるに違いない……ずっとそう思っていた。


そうであったなら理解ができたかもしれないからだ。


だが、その可能性は少女の自信満々な宣言によって閉ざされてしまった。


私の目の前にいる者は到底理解出来ない精神構造をした人間……いや、人間であるかどうかすら分からない。


いま、私は目の前の少女を心の底から怖いと感じた。

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