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大山流の基礎

今回は真守視点です。

側衛……いや、姫巫女だったか?


どちらでも構いはしないが、それが加護を授けてからの日和の動きは凄まじいの一言であった。


技術は未熟……だが、それを補って余りある身体能力。


隙を隙にさせない速さ、無尽蔵に攻撃を繰り出すスタミナ、一撃一撃の重さ……そして、定石を外してくる未熟さ。


これらの全てが噛み合った結果、俺は全く反撃できずに防戦一方となっていた。


キツネの方を見る余裕もないが、何も動きが無いと言うことは何かを仕掛けているか、あの少女の妨害にあっているのかもしれない。


助けていくと決めたのに、ここで何も出来ずに追い詰められて……俺は一体何をやっているんだ。


最初の頃は良かった……まだ、俺が護ってやれていた。


だが、どんどんと成長して強くなっていくキツネに対して、俺は全く変化が無かった。


いや……最初の時と違って言葉遣いや考え方も影響を受けなくなるほどに加護が減っている辺り、俺は確実に弱くなっているのだろう。


日向のように女として生きていく覚悟も持たずにダラダラとやってきたツケが回ってきたのかもしれない。


「真守、しっかりするのだ!」


「でも……」


「大山流の基礎を思い出せ!

それを加護で行うのだ」


大山流の基礎……体内に宿る気を循環させるというものだ。


正直な話、親父である師範代も気というものはよく分からず、精神論と位置付けられているものだった。


だが……気というものが分からなくても加護ならば理解できる。


自身の中にある加護……それを身体の中で循環させ……


「くっ……ダメだ!

この攻撃を捌きながらでは……」


「日向が何か動いておった。

必ず……必ず隙は出来る筈だ!

それまで何としても耐えるのだ!」


「……ああ、分かった!!」


リルの言葉を信じて日和の攻撃を捌く……未熟な攻撃は時に予想外の動きを見せ、その対処によって少しずつ追い詰められているのが分かる。


そして……その時はやってきた。


「しまった!?」


定石を意識しすぎて予想していなかった一撃を辛うじて受け止めたのだが、マトモに受け止めたせいで威力を殺せずに大きく吹き飛ばされる。


すぐに追撃が来ると思い態勢を整えたのだが、全く動く気配がない。


疑問に思って日和の方を見ると、日和が蹲って苦しんでいるのが分かった。


「日向の奴がやってくれたようだな。

さぁ、今だ!」


「ああ……はああああああ!!」


身体の中に僅かに残る加護を血液の流れをイメージして循環させる。


不思議なことに身体の中を一周するたびに加護が別の力として大きくなるのを感じた。


「今のお主ならば3周が限度だろう……さあ、それを拳に留めて放つのだ!」


「うおおおおおお!!」


リルの言う通りに大きくなるほどに流れが淀んでいき動かしづらくなる。


それを何とか右手に集めて留め、雄叫びを上げながら日和の腹に向かって突き出した。


その一撃が日和の身体に当たった瞬間に集めた力を解き放つ。


その一撃を受けた日和は前のめりに倒れ伏したのであった。

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