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心を(愉悦で)満たして、身体は(狂喜に)馴染む

今回のタイトルは()内を読まなくても通じるというコンセプトです。

何人……いや、何十人の偽キツネを斬り伏せただろうか?


これだけ動いても疲労は感じない……むしろ、どんどんと馴染んできて気分が高揚していた。


「あははは〜次!

早く来なさいよ!!」


その言葉に応えるようにこちらに向かってきた偽キツネの突撃を日傘で突いて止める。


動きの止まった偽キツネを回し蹴りで吹き飛ばし、その方向にいた別の偽キツネにぶつけた。


それと同時に既に投擲していた仕込み刀が2人の腹に貫通して突き刺さり、その一撃で偽キツネは消滅する。


武器を手放した事でチャンスと見た偽キツネが2人で同時に斬りかかってくる。


私はその一撃を片側は日傘で、そしてもう一方の攻撃を手で握って止める。


日本刀を素手で握れば血の一つも出そうなものであるが、全くの無傷であった。


そのまま力を入れると魂魄もどきの日本刀は枝を折るよりも容易く砕けた。


「脆いなぁ……ん?

ああ……お前ももう少し斬りたいんだね。

いいよ、戻っておいで」


私が感じたのは仕込み刀から聞こえる……もっと斬りたいという想いを感じた。


その想いに応えて戻ってこいと念じると右手の中にずっしりとした重みを感じた。


そう……今しがた投げたばかりの仕込み刀は、今の一連のやり取りで手の中に戻ってきていたのだ。


「おやおや……黒薔薇もお姉さんを気に入ったみたいだね。

それ、全部お姉さんにあげるよ」


「ふふ……ありがとう。

この衣装とっても気に入っちゃったよ」


「それは良かった……ほら、まだまだ馴染ませる為の生け贄は沢山いるよ。

好きなだけ狩りなよ」


少女の言う通り、目の前にはまだまだ沢山の獲物がいる……狩り放題とはこの事だ。


「ふふふ……あははは!

もっと……もっと、もっと!!

まだ足りない、もっといける。

もっと強くなれる……もっと馴染ませられる!!」


心の中が愉悦で満たされていく。


獲物を1人狩る度に心が躍り、力が馴染んでいく。


もっと……もっともっともっともっともっと!!


感情の赴くままに獲物を斬り捨てていく……ふと気がつくと獲物は残り1人となっていた。


「な〜んだ、これで最後か。

さよなら」


最早私は何のためにここに来ていたのかなど忘れていた。


欲望のままに目の前の獲物を斬り捨て、最後に残った……うずくまり震える小さな獲物に対して刀を振り下ろした。

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