黒日向VS偽キツネ(軍団)
改めて偽キツネを観察する。
狐面を被って尻尾が一本というのは間違いなく、夏休み時代に活動していた初期の私の姿であった。
腰に魂魄を佩いているが、コンの存在は感じないことから普通の刀になっているのだろう。
初期とは言え果たして勝てるのだろうか……そう思った矢先に偽キツネの方が動き出した。
想像よりも遥かに早い踏み込みで、迷いなく喉を突いてくる。
「あっ……ぶな!!」
反射的に右に逸れて回避する。
だが、その一撃に収まらずに切り返して薙ぎ払ってきた攻撃をしゃがんでかわす。
それからも怒涛というべき攻撃を繰り出してきたのだが……
「よっ、ほっ、おっと……なにこれ?
全部見えるし、変身してる時……ううん。
それ以上に身体が自在に動く!」
「そりゃ、そうだよ。
その服……黒薔薇は僕の加護付きだからね。
どう?
僕のすっごく大きいから気持ちいいでしょ」
「相変わらず言い方に悪意を感じる」
「気のせいでしょ?
もし何か変な想像をしたなら、それはお姉さんがエッチだからだよ。
それよりも、ここじゃ戦いにくそうだからサービスしてあげるよ」
少女が指をパチンと鳴らす。
すると、周りの光景が書き変わっていき、広い空間へと変貌を遂げた。
もちろん、この間も偽キツネの攻撃は続いているのだが、それらを避けながらでも余裕である。
イメージの偽物でも焦ることがあるのだろう。
段々と大振りになってきた攻撃の隙を突いて、剥き出しになっているお腹に蹴りを入れる。
中に日和がいるのが分かっているので斬りかかる訳にはいかない。
その一撃でかなり後方に吹き飛んだ偽キツネだったが、刀を地面に突き刺して強引に止まる。
「日和は私が護る!!」
「だから、日和は私の弟だって……うえええ!?」
偽キツネが叫ぶと、周囲からワラワラと同じ格好をした偽キツネが現れる。
「ちょっ、ちょっと、どういう事!?」
「そりゃイメージで幾らでも作れるんだから1人だけじゃないさ。
大丈夫、大丈夫。
僕の加護はとっても頑丈だから、このぐらいの人数と乱交したって平気平気」
「だから、いいかたあああ!!」
一斉に襲いかかってくる偽キツネ達の攻撃を回避しながら、仕込み刀で反撃して数を減らす。
その際に左手に持った日傘が受けるのにも、攻撃にも使えてかなり便利である事に気付く。
「これなら何とか……してみせる!」
勝てると確信を得た私は、偽キツネ達と乱交……もとい、乱闘へと興じるのであった。