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日傘の嗜み

長い銀髪をツインテールに纏めた、白無垢をイメージした衣装を纏う狐面の女性。


それは間違いなく変身した後の自分の姿であった。


尻尾の数は見える限りで一本ではあるが、そんな事は問題ではない……何故、日和がキツネを知っているのかという事である。


ここは日和の心の中だ……私が変身してキツネとなって戦っている事を知らない限りはこんなイメージは出てこない筈である。


「いや〜変身できないお姉さんに変身したお姉さんが立ち塞がるなんてぇ。

怖い、怖い」


言葉とは裏腹に全く怖がる様子もない少女の声がする。


「まさか……貴女の仕業!?」


「え〜何のことか分かんないなぁ。

少し前に変身ヒーロー、ヒロイン談義した時にお姉さんの変身した姿とか強くて格好良さそうじゃない?

って言って描いた絵を見せながら話した事は関係ないだろうし」


「100%それが原因じゃん!」


「いやいや、他にもいろいろ候補は挙げたんだよ?

でも、日和の心の中で変身してるって事はよっぽどお姉ちゃんに似合うって思ったんでしょ。

それって嬉しい事じゃないの?」


「うっ……」


確かに嬉しいか嬉しくないかで言ったら嬉しい。


だが、それが敵になって立ち塞がるとなると話は別だ。


とは言え……


「この格好で戦うのはなぁ」


変身できない以上はこの状態で戦うしかないのだが……果たしてやれるのだろうか?


「あ、お姉さん。

これ貸してあげる」


そう言って少女が投げてきたのは黒い日傘であった。


「こんなものでどうやって戦えと?」


「それ、仕込みが入ってるから」


「え?あ、ほんとだ……物騒だなぁ」


彼女のいう通りに傘を根元から引き抜くと一本の刀が現れた。


試しに振ってみると意外な程に心地が良く馴染む。


「何で日傘に刀仕込んでるのさ?」


「え〜こう言うのってゴシック少女の嗜みじゃない?

日傘なんて刀か銃が仕込んであるもんでしょ」


「漫画の見過ぎだと言いたいけど否定はできない」


「でしょ〜」


少女が楽しげに笑うとつい気持ちが絆されてしまいそうになる。


だが、彼女は決して味方ではないと言う事を忘れてはいけないだろう。


「よし、これで準備は整っ……冷静に考えたら、こんなにだらだら準備してる割に襲ってこないね」


「日和の防衛本能で動いてるっぽいからね。

襲われない限りは何もしてこないんじゃないの?」


「そんなもんなんだ……まぁ、いいか。

とりあえずやってみますか!」


こうして左手に日傘、右手に仕込み刀。


衣装は黒のゴシックワンピースに赤いハイヒールという訳の分からない格好で自分の偽物と戦うことになってしまった。

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