日和の心の奥底
本日3話目です。
少女に案内されながら向かう道中だったのだが……
「ねぇ、本当にこっちで合ってるの?
そもそも、何処に向かおうとしてるのよ」
「日和の心の奥底だよ。
彼の心を浄化したいならそこまで行くしかないね」
そうやってズンズンと進んでいく少女について行く……のだが。
「なんか周りに浮かんでるイメージ映像がさっきからおかしいんだけど。
何でこんなに水着とか裸の女の子が出てくるの?」
「思春期男子の頭の中を舐めちゃいけないなぁ。
あいつら三分に一回はエロい事考えてるんだから。
お姉さんだってそれは知ってるでしょ?」
「いや……確かに分からないでも無いけど……」
そうして進んでいくと、次に浮かんできた映像に衝撃を受ける。
私がソファーに寝転んでパタパタと足を動かしている場面、それを日和の視点の映像だった。
「ビックリするくらいにチラチラと見えるパンツに固定されてる」
「思春期男子の前でこんな事してたの?
そりゃ目の毒だね」
「うっ……」
返す言葉もないが、この少女にそれを言われるのは癪である。
それからも私が下着でうろついてたりと言った、日和にとっては目の毒であろう映像が溢れるほどに浮かんでくる。
それも入ってきた時と違って鮮明に。
「ねぇ、何でこんなに鮮明に映ってるの?」
「それだけ彼にとっては強烈に脳内に焼き付いているって事さ。
あと聞かれると思うから先に答えておくけど、お姉さんの映像ばかり浮かんでるのはゴールが近いからだよ。
こんなに奥深くに溢れんばかりの感情を閉じ込めてたって事だね」
「……そう……」
ここまで見せられれば馬鹿な私でも気付く。
日和は真守ではなく私の事を好きになってしまっていたのだ……もちろん姉ではなく、1人の女性として。
それにも気付かずに私は無防備な姿を曝け出して、姉だからと奥底に閉じ込めていた思いを掻き乱してしまったのだろう。
会って日和に謝らないと……そう思った矢先に見覚えのある建物が現れた。
「これって私達の家?」
「僕達の愛の巣って言い方でもいいけど?」
「冗談はやめてよ。
これってどう言う事なの?」
「簡単な話だよ。
ここがゴールで日和が一番安心できる場所ってこと」
「家が一番安心できる場所……日和、良かった」
私もいる場所が安心できると思ってくれたのは素直に嬉しかった。
「日和……必ずお姉ちゃんが助けてあげるから」
私は決意を新たにして家の扉に手をかけた。