大型の不浄
本日3本目です。
ゲートを通った先は毎度お馴染みとなってきた廃墟である。
コン達曰く、このような淀んだ場所にこそ不浄が発生しやすいのだそうだ。
だが、中に入ると外観からは想像も付かない程に整えられた広間が現れた。
その中央には体長2メートルを超える大きな人形の不浄が立っていた。
巨大な不浄はこちらの姿を見つけるや一目散に距離を詰めてくる。
「早い!?」
「問答無用かよ」
慌てて左右に散って回避する。
だが、その不浄は大地を勢いよく蹴ると私の方に向かって飛んできた。
そのスピードは私よりも遥かに上で容易に追い付かれることが予想できる。
更に飛んで回避した為にこちらは未だに宙にいて対応が出来ない状況である。
「護国!!」
咄嗟の判断で進行方向に護国を止まらせ、私を包み込ませて上空へと逃れる。
護国に少しだけ何かが触れる感触がした。
下を見ると不浄が片足を蹴り上げているのが見える。
上に逃れた為に何とか回避出来たが、あんな化け物とまともに戦うなど冗談では無い。
どうしようかと悩んでいると、その不浄は腰を沈める体制を取る。
「ま……まさか……」
嫌な予感は正に的中するものであろう。
その不浄はこちらに向かって飛び上がってきたのだ。
「お前の相手は俺だよ!!」
いつの間にか不浄の近くへとやってきていたオオカミが、飛び上がった瞬間の不浄の足を掴む。
「う、うおおおおおお!!」
凄まじい雄叫びを上げながら飛び上がった不浄の勢いを止め、前の地面に叩きつける。
叩きつけた反動を回避する為にぶつかる直前に手を離したことで前の方にバウンドする不浄。
しかし、この程度の攻撃ではビクともしないらしい。
不浄は元気よく体制を整えると、空中で反転しながらオオカミの方に向きあって構える。
「お前……その構えをどこで!?」
「どうしたの?」
「こいつ、何故かウチの道場の構えと全く同じ構えをしやがる。
すまんが確かめたいことがあるから暫くそこで見学をしていろ!!」
そう言ってオオカミと不浄はそのまま肉弾戦へともつれ込んでいった。
その動きは戦っているというよりも共通の型をなぞりあっているようであった。
そのまま、数分間の肉弾戦の末に一旦お互いに距離を取る。
その時にオオカミがこちらの方に向かって叫んだ。
「こいつは日和だ。
なんでこんな姿になっているのか分からないが間違いない!!」