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日向の気持ち 日和の気持ち

「………」


「………」


き、気まずい。


結局の所、先程の事はふざけ合った末の事故だと説明する事で事なきを得た。


それでも居た堪れず、逃げるように日和を連れて家に帰ることにしたのだが、帰り際に真守のお母さんから


「日向ちゃんがウチの娘になるなら大歓迎よ。

もし、そうなってもおばちゃんは応援するからね」


などと言う大変にありがたくも恥ずかしいお言葉を頂いてしまった。


帰り道、日和と並んで歩いているのだが、何も言葉が出てこない。


端的に言って非常に空気が重い。


日和はずっと何かを考え込んでいるように俯いている。


「あ、あのね……」


「なぁ、姉ちゃん」


私が何か言おうとした時に日和も口を開く。


「え、な、なに?」


「姉ちゃんは師匠の事が好きなのか?」


我が弟ながらとんでもない事を聞いてくるものだ。


そりゃ、好きか嫌いかで言えば好きに決まっている。


だが、日和の様子からそう言うことを聞きたいのではないと言うことは分かる。


考えてみれば真守が女性となってからも親身に接しているのだ……日和が好きになってしまうのも仕方ないだろう。


こうして分かってしまうと何故日和がここまで考え込んでいるのか。


こうまで空気が重たい理由は何なのか分かるというものである。


……誤魔化すのは簡単なのかもしれないけど、そう言う事情であれば真剣に話すべきなのかもしれない。


私は日和の真剣か眼差しを受け止めながら答える。


「……好きだよ、日和が考えている意味でね。

前はこんな気持ちじゃなくて一緒にいたい相手ってだけだった」


「今は違うって事か?」


「今は一緒にいたいだけじゃない。

真守の事が欲しいと思うし、私の事も貰って欲しいって思う……そんな人かな?

私もそんなに考えた事は無かったから上手く言葉に出来なくてごめんね」


「いや……姉ちゃんの言いたい事は分かるよ。

……俺もそうだから。

悪い、先に帰る」


日和はそう言うと1人で走り去っていった。


その後ろ姿を眺めていると、


「罪な女コンね」


と言う声がする。


「本当にねぇ……真守は美人になったから初恋になるのも仕方ないけど」


「僕は日向の事を言っているコンよ?」


「何でそこで私の話になるの?

流れ的には真守でしょ」


そこで横を見るとコンが心底呆れた顔をしていた。


「日向もまだまだお子様コンね。

分からないなら分からないでいいコン」


「何よ〜教えなさいよ!」


こうして訳の分からないことを言うコンを弄りながら、私も帰宅したのであった。


この日、日和は部屋から殆ど出て来ず、食事の時も目を合わせてはくれなかった。


今後の投稿ペースの話ですが、平日は皆さんも忙しいと思うので一日1話ずつ。

週末に複数話一気に投稿という形にしようかと思いますので、よろしくお願いします。

基本的には土日に読めるように土曜日に集中させるつもりです。

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