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狐の里

バイトの次の日、つまりは日曜日である。


早速真守と買い物に……と、行きたいところであったが、狐の里の大婆様とやらと話が付いたらしい。


下水道で出会った謎の少女について、何か思い当たることがあるそうだ。


その事について直接話したいという事で、私達はコンの故郷である狐の里に向かう事になった。


とは言え……


「ゲートを繋いだぞ」


行くのも帰るのもリルが繋いだゲートで一瞬だそうだが。


「今更気付いたんだけどさ……今まで繋いでいたゲートってリルの力なの?

コンは出来ないの?」


「空間に干渉して繋げてしまう技術は狼の秘伝コン。

僕たち狐は時間に干渉する力を持っているコン」


「えーっと、つまり……不浄の元まで繋げているゲートは狼の力。

不浄が現れて止まる時間は狐の力って事か」


「そういう事だな。

それとゲートは生身で通るのは不可能なのだ。

ちゃんと変身するんだぞ」


「はーい」


「了解」


リルの言葉で私達は互いに変身してキツネとオオカミの姿になる。


変身して確認したのだが、やはり尻尾は三本になっていた。


今回は武器は必要ないという事で、コンとリルは元の姿のままである。


こうして2人とも2匹で仲良くゲートを潜る。


「うわぁ……凄い」


最初に飛び込んできた景色は、まるで映画にある場所のようだという感想であった。


森の中にポツンとある平野の中に、幾つかの藁葺きの建物が点在している。


周囲にはコンと違いリアルな狐が彷徨いており、私達がやってくると物珍しげにこちらを見ていた。


そんな中で遠くの方からものすごい勢いでこちらに走ってくる人間がいた。


いや、遠目には人間に見えたが、近づいてくると狐の耳が頭の上に生えているのが分かる。


つまりはコンの仲間が人間に変化しているのだろう。


彼は私たちの前まで来るとその場でしゃがんで頭を伏せる。


「当代の巫女様をお待たせしてしまい誠に申し訳ありません!

この狐の里、御二方を心より歓迎致しますぞ」


そう言って立ち上がった男性は私の手を取り


「さぁ、こちらへどうぞ。

今から大婆様の元へ案内いたします」


と、グイッと引っ張ってくる。


「え、ええっと……」


何となく真守の前でそういう事されるのは嫌だなって思った時だった。


今度は真守が私の反対の手を引っ張った。


「悪いな、こいつそそっかしくて転びやすいからさ……そうやって強引に引っ張られると危ないんだよ。

俺が転ばないように責任持って連れて行くから、悪いけど前を歩いて案内してくれるかい?」


「そ、それは誠に申し訳ありません。

つい気が逸ってしまいまして……里を観覧出来る程度の速さで歩きますので、ごゆっくりどうぞ」


男性は気を悪くした様子もなく前をゆっくりと歩き始めた。


「ひょっとして……嫉妬した?」


「日向が危なくて見てられないだけだ。

さぁ、行くぞ」


そう言う真守であったが握った手を離そうとはしなかった。

 

そんな真守の様子に私は心が温かくなるのを感じながら、案内の男性の後をついていくのであった。


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