バイト初日からのトラブル
本日も2話同時更新。
一時間お待ちください。
2022/08/17 誤字報告受け付けました。
いつもありがとうございます。
「それで……何で私だけ違う制服なんですか?」
「結論から言っちゃうと、日向ちゃんに合う制服が無かったからですね……主に胸が。
それで、知り合いの店なんかを当たった結果、その制服が届いたと言う訳です」
言われてみれば真守が着ているシャツは割と胸周りにゆとりが無い。
あれを私が着れば拘束具となる事は必至であった。
「でも、1人だけ制服が違うのって……」
「とっても似合ってるから大丈夫ですよ。
ねぇ、真守ちゃん」
「ああ……正直な感想だがとても似合っている。
日向の可愛さをこれ以上ない程に引き出しているな」
「ちょっ、真顔でそんな恥ずかしい事言わないで。
分かった……分かったから大人しく着ます」
そんなやり取りがありながらも、私達のバイトデビューが遂に始まった。
私達は主にホールを任されることになった。
とは言え、まだ初日なので先輩が常にサポートする形になっている。
私達について教えてくれるのは八幡真由美さんというバイトリーダーの女性だ。
彼女とはこの前相談に来た時に少し話をしているので一安心である。
「稲荷さん、大山さん、今日はよろしくね」
そう話す八幡さんの教えは的確でとても分かりやすい。
そして、お店のシステム自体が電子化されて管理されており、慣れない私達でも十分に戦力になる働きが出来るようになっていた。
「ねぇ、見て見て!
あのちっちゃい子、特別な制服が似合ってて可愛いね」
「隣のお姉さんも身長高くて格好良い……推せるわ」
あちこちからそんな声が聞こえてくるので少し照れる。
もちろん殆どが女性客なので嬉しい感想ではあるのだが。
ただ一つ困ったのがカップルの客である。
私が席まで案内すると、男性の方の視線が何処を見ているのかハッキリ分かってしまう。
勿論、私も元男なので気持ちは分かるし、こればっかりは仕方ないと思うと嫌悪感も湧いてこない。
そして接客の基本だからと笑顔で接すると途端に相合を崩してデレデレとした表情に変わる。
彼氏がそんな事になって面白く無いのは彼女の方だろう。
と言いたいところなのだが、私が席に案内して真守がシステムの説明に入ると、次は彼女の方が真守に熱視線を送り始める。
問題はないのかもしれないが、こうして2人でカップルを落としてしまっているのは何だかなという気分になってくる。
それでも特にトラブルが起こることが無く働いていたのだが、問題は間もなく仕事が終わると言う時に起こった。
「あ、あの……一緒に写真を撮ってもいいですか?」
先程のカップルの女性が真守と写真を撮りたいと言い始めたのだ。