初めてのバイト
本日2話目。
2022/08/17 誤字報告受け付けました。
いつもありがとうございます。
土曜日……遂に今日からバイト初日である。
あっという間にと言いたい所ではあるが、ここまで長かった気もする。
不浄との戦いが2回に、真守と気まずくなったり仲直りしたり。
それにキ……キス……とかも、し、しちゃったりして……濃密な数日間だった。
八尾の少女に関しては、コンが大婆様とやらに連絡したけれども、まだ返事はもらえていないらしい。
と言うわけで、やっと日常に戻ってこれた私と真守は、約束のバイトを行う為にスイヘブへとやってきた。
「こんにちわ、2人とも。
今日はよろしくお願いしますね」
スイヘブの中に入ると美幸さんが待ってましたと言わんばかりに出迎えてくれた。
「美幸さん、今日はよろしくお願いします!」
「よろしくお願いします」
私達は並んで元気に挨拶をする。
「はい、2人とも元気で大変素晴らしいです。
……あれ?日向ちゃんは言葉が?」
「あ、うん……じゃなかった、はい!
敬語は苦手なんだけど、これからお世話になるから頑張ろうかなって……あ、頑張ります」
「おかしな所が多いとは思いますが、本人はやる気あるのでお願いします」
「あらあら、日向ちゃんはそのままでも魅力的だったから良かったんですけど……でも、そうやって努力するのは素敵な事なので応援させてくださいね」
そう言って美幸さんがにっこり笑う。
確かに仕事だからと言うのもあるのだが、正確にはそれはオマケ程度である。
本当は前に相談した時の美幸さんが凄く大人の女性という感じがして憧れたからだ。
あんな風になるにはどうしたらいいのか?
考えた末にたどり着いた結論は言葉遣いを真似するという事であった。
「それじゃ、2人とも制服は用意してるから着替えちゃって」
美幸さんの案内で私達は更衣室に向かう。
すでに私たちの名前が付いたロッカーが用意されている事に感動しつつ、中を開けて制服を取り出す。
「あれ?制服ってこんなんだっけ?」
疑問に思いながらもここにこの服があると言うことは私の服なのだろう。
出来上がりを鏡で見てみる……シャツはゆとりがあり、私の大きめの胸も無理なく包み込んでくれる。
前が大きく開いた赤いエプロンと一体型になったミニスカート。
そのエプロンを腹から巻いているようなデザインの為、お腹がへっこんでより胸が強調されている……どう考えても露出が激しい気がする。
「こっちは終わったけど日向はまだなのか?」
「あ、ごめんね。
こっちも終わったから出て行くよ」
カーテンが区切られた更衣スペースから出ると、同じく制服に着替えた真守がいた。
水玉のシャツに黒のスラックス。
普通の格好である……おかしい。
いや、見た目は最高に似合ってて格好良くて何もおかしくは無い……おかしいのは私の制服だ。
真守もそう思ったのか、さっきから視線を合わせてくれない。
「ねぇ、私の制服おかしくない?」
「い、いや……最高に似合ってるよ」
「じゃあ、何でこっちを見ないの!
ほら、ちゃんと見てよ」
私はそう言いながら真守の両手を掴み、何とか顔をこちらに向けようとピョンピョンと跳ねる。
「あ、ちょっ、そんなにしたら体勢が」
「あ、え、きゃあああ!?」
私が真守の身体を掴んで飛び跳ねたせいでバランスを崩して2人同時に倒れてしまった。
私が真守のお腹部分に乗り、腕を押さえつけた状態……更に目の前には真守の顔がすぐ近くにある。
この唇にキスしたんだ……ふと視線を落とした先にある真守の唇に目が釘付けになる。
心臓の鼓動が早くなっていく……そのまま吸い寄せられるように、真守の唇に自分の唇を近づけていく。
「用意できましたか〜って、あらぁ」
「ひょい!?」
突如、美幸さんが更衣室の扉を開けて入ってきたので、私はビックリして訳の分からない奇声を上げながら跳ね上がる。
「私はお邪魔だったかしら?
うふふ〜ゆっくり出てきてくれていいですからね」
「ち、違うんです。
ちょっとふざけてたら転んだだけで……ね、真守」
「あ、ああ。
決して邪なことをしている訳じゃない」
あらあら、うふふと楽しそうにしている美幸さんに弁明を繰り返す私達であった。
一般の制服はスイ○ラ、日向のみアン○ラと思ってくれればいいです。