加護の強さ
本日は二本更新。
2本めはお昼の12時に更新します。
「ここって……下水道?
やだ〜」
「臭いはしないみたいだかな」
「お主らの今の嗅覚でこの場の臭いを嗅いだら悶絶では済まぬだろうな。
加護に守られている限りはそのような事は無いので安心せよ」
真守のグローブに変化したリルが自慢げに話す。
「へぇ〜加護って本当に便利なんだね。
これって全部引き出す事が出来ればもっと強くなれるのかな?」
「お主らの現状ではまだまだだな」
「狼の方は知らないけど、キツネの巫女様で一番強かったのは初代の姫巫女様と言われているコン。
長老から聞いた話では歴代で唯一の九尾巫女と言われているコン」
今度は私の腰に佩いた魂魄から声がする。
「九尾……って事は、私も加護を引き出し続けたら尻尾が増えていくの?」
「理論上はそうなるコン。
でも、今の日向じゃ……二尾すら先だコン」
「因みに真守に至っては日向よりも力を引き出せて無いからな。
精進するのじゃ」
「え?私の方が力を引き出せてるの?」
リルの発言に思わず反応してしまう。
現状では常にオオカミの足を引っ張っている。
それなのに真守がその力を引き出せていないと言うのが納得いかなかった。
「考えても見るが良い。
護国を念力で操作するなど普通の人間には不可能であろう?
それを成し得るのが加護の力なのだ。
今の真守は加護の力で神装を呼び出して着るのが精一杯。
神装によって元の力は増しているだろうが……それだけだな」
「元々、家がやっている古武術とこの服で強化された動きが上手く噛み合ってくれているからな。
それでも困る事は無いよ」
「えーっと……つまり、オオカミはそのライダースーツを呼び出して着るだけで全部の加護を使っている。
一方で私はそれをした上で護国を操作できる分だけ加護が上。
オオカミが強いのは実家の古武術のお陰……ってこと?」
今までの話を何とか頭の中でまとめて披露する。
「うむ、そういうことじゃな」
「ついでに補足すると、日向はその他にも身体能力向上に加護を回しているコン。
それでも、まだ余剰分を残しているコン」
「うわ……私の加護強すぎ……?」
昔ネットで有名になった広告を真似て言ってみる……が、腰に佩いたコンからは呆れの声が返ってきた。
「それでも歴代の巫女様に比べたら全然コン」
「もっと精進するのじゃな」
「はーい。
少しくらい調子にのらせてくれても……」
「キツネ!下水から来るぞ!」
「え……きゃあ!?」
オオカミの叫びで下水の方に目を向けると、下水から私に向かって何かが飛び出してきた。