美幸のカウンセリング 3
全4話の3です。
「話を続けましょうか。
しかし、この後のことは自分の口から言いづらいでしょうね。
要約すると真守ちゃんの事に触ってもらっているうちに、穢れと雰囲気に呑まれてどんどんと過激な事を要求。
一線を超えそうな事を要求した直後に正気に戻る。
……これは確かに恥ずかしさで居た堪れなくなっても仕方ありませんね」
「そんな詳細に言われちゃうと恥ずかしい……」
改めて言われてると、その時の情景が蘇って熱くなってくる。
「……最初は不浄と真守ちゃんとの行為がほぼ同時期に行われていたので、嫌悪感を勘違いしているのかと思ったのですがその線は無さそうですね」
「どう言う事?」
「この手の話を思い出した時に、真守ちゃんと一緒に不浄にやられていた時の記憶が蘇り、その不浄に対する嫌悪感を真守ちゃんへのものだと勘違いしてしまう……こう言うことってよくあるんですよ」
「へぇ〜」
何となく言っていることは分かるのだが、ピンとは来ない。
「今の日向ちゃんから真守ちゃんへの想いは、羞恥心と純粋な好意しか無さそうですからね。
あと、気になるのは……コンさんはいますか?」
美幸さんが呼び掛けると、何処からともなくコンが現れる。
「何か用コン?」
「聞きたいことがあるのですが、真守ちゃんと日向ちゃんは同時期に契約して巫女になったのですよね?」
「そうだコン」
「私は女性になってからの2人しか知りませんが、明らかに日向ちゃんの方が女性化が進んでいませんか?
真守ちゃんは比重としては男の部分が多そうですが、日向ちゃんはかなり女性に寄っていると思うんですよね」
「それは加護の力の影響コン。
日向の方がより強く加護を引き寄せているコン」
「加護が強いと女性化が進むと?」
「それについてはどっちが先か分からないコン。
加護が強いから女性化が進むのか、女性化が進んでいるから強い加護を引き出せるのか……どっちコンかね?」
「卵が先か、鶏が先かみたいな話ですね。
もう一つ聞きたいのですが、加護を受けて思考や行動が女性的になると言うのは、一種の洗脳みたいなものでしょうか?
元の人格を消してしまうような……」
「な!?」
そこまで考えていなかったけど、言われてみれば思考が女性的に誘導される……それは私と言う、今まで築き上げてきた自分の否定なのかもしれない。
「それは違うコン。
加護はその人の元々持っていたものを増幅させるコン。
日向には元々女の子っぽいところがあったから、すぐに男の日向と逆転してしまったんだコン」
「なるほど……そう言うことだったんですね」
コンとの話で美幸さんは全てを理解したかのようにうんうんと頷いた。
そして、私の方を見ると
「日向ちゃんは正常で何も問題はないですよ。
ただ、戸惑っているだけなんです」
と語りかけてきた。