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美幸のカウンセリング 1

ちょっとストックが貯まりすぎたので一気に放出します。


今回は全4話の1です。

「良かったらこれをどうぞ」


美幸さんは唐突な申し出にも関わらず、嫌な顔一つせずに出迎えてくれた。


そして、私の目の前にハーブティーと美味しそうなケーキを出してきた。


「え……こんなの貰っちゃ悪いよ」


「気にしなくていいんですよ。

女性として先輩の私が日向ちゃんにアドバイスをあげましょう」


「え、なに?」


「女の子は甘いものを食べると元気になれる生き物なんですよ。

落ち込んでいる時は特に」


そう言ってパチリとウインクする美幸さん。


「あ、ありがとう……」


そんな美幸さんにお礼を言って目の前のケーキを口にする。


シンプルないちごのショートケーキだが、口の中に入れた瞬間に生クリームの甘さが広がっていった、


それと同時に、先程までグチャグチャな感情が渦巻いていた心の中が少し楽になった気がした。


「ほんとだ……少し、元気になれた気がする」


「それは良かったです。

ところで何があったんですか?」


「それは……」


説明しようとした所で言葉が詰まる。


美幸さんは全て知っている。


だからと言って、今回会ったことを全部話していいものかと。


そんな私の様子に気付いたのだろう。


「全て話してくださいね。

下手に隠されると余計に分からなくなりますから」


「……分かったよ」


美幸さんの言葉に私は意を決して全てを話した。

 

変身バンクの話で少し喧嘩になってしまった事。


一人で突っ走ってピンチになった事。


犬型の不浄にお尻を嗅がれた上で太ももをペロペロ舐められた話。


舐められた箇所から穢れが発生し、その穢れに我慢出来なくなった私がオオカミに懇願してしまった話。


オオカミが治療のために太ももをさすってきた話。


そこから真守の顔を見る度にその時の情景が浮かんで何も言えなくなってしまう事。


包み隠さずに全て美幸さんに話した。


美幸さんはこんな普通なら正気とは思えない話にも、ほうほうと相槌を打ってくれる。


この先を話していいものかと迷った時に「続けたまえ」なんて戯けた口調で促してくれて、それが嬉しくて気付けば全てを話してしまっていた。


「なるほど……多分ですが、今の日向ちゃんは色んな思いが交錯して捻れあって混乱しているんだと思いますよ」


「色んな思い……ですか?」


「これは一つ一つ解いていくしか無いでしょうね。

今から幾つか質問しますので、それに答えていってください」


そんな事で今の自分の気持ちが落ち着くとは思えなかった……しかし、美幸さんが真剣な表情にわたしは頷くことしか出来なかった。


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