蕩けるキツネ
せっかくの良い雰囲気なので2話連続投稿します。
こちらは2話目です。
犬の不浄に太ももを舐められ続けて悶えていたのだが、いつしか終わりがやってきた。
ヌルっとした感触が来なくなり安堵していたのだが、異変はすぐに起きた。
舐められていた部分が熱くて熱くて堪らなかった。
誰でもいいから熱くなった部分を触って欲しい……そんな思いで頭の中が塗り替えられていく。
そんな矢先に足を掴まれる。
「違うの……そこじゃないの……」
そう訴えかけた言葉は埋もれた段ボールの中に消えていった。
直後にグッと引き寄せられる感覚がして私は段ボールの山から脱出する事が出来た……のだが、熱さは……疼きは……どんどんと増していく。
マトモな思考もままならない中でオオカミの姿を視界に捉える。
そうだ……オオカミに触ってもらえれば……もっとずっと気持ち良くなれる。
そう思いついてしまえば、その事しか考えられなくなった。
私はオオカミに必死に懇願する……熱くなった太ももを触って欲しいと。
そんな必死の思いが通じたのか……オオカミが私の正面に座り、太ももに手を伸ばしてきた。
「はぁ……ふぅ……」
私は触られる瞬間に犬型の不浄に舐められた時のような……それ以上の感覚が身体の中を走ると思い覚悟していた。
しかし、想像していたような感触はせず……じんわりと熱さを抑えるような……オオカミの優しさがそのまま手から出ているような感覚を覚える。
想像していたような感覚では無かったが確かな事が一つある……それはこの行為がとても気持ちが良いという事だ。
オオカミの手が動くたびに私の脳内が蕩けさせていく……マトモな思考など何一つ出来ずにオオカミを見つめる。
オオカミ……綺麗。可愛い。格好良い。好き。
そんな感情が心の奥底から湧き出してきて、いつしか私はオオカミに頭を寄せていった。
互いの息遣いが分かるほどの距離、オオカミの匂いが鼻を擽り、より脳を蕩けさせる。
我慢出来ない……私の全てを上げたい、全部をもらって欲しい。
そう思った私はオオカミに更に甘える。
もっと内側を……もっと上の方を触って欲しい……と。
その言葉にオオカミは一瞬ギョッとする。
慌ててる……可愛い……好き。
そんな思いが脳内を支配し、オオカミの手が私の望む場所に伸びてきた……そんな時であった。
まるで冷水を浴びせられたように意識がハッキリと戻る。
お酒など飲んだ事がないが、酔っ払いが急にシラフに戻るというのはこういう事なのだろうか?
とにかく言えることは、私は完全に意識を取り戻してしまった……そして、今までの自分の痴態を全て覚えているということだった。
あっという間に顔に血が上って真っ赤になるのが分かる。
私はオオカミに回していた手を素早く離して後方に飛び退く。
そして、まともに顔を見る自信が無かったので、狐面を顔に持ってきて被った。
そうしながらも退避できる場所を探していた私はすぐ近くにある柱の影に隠れる。
その場でしゃがみ込んだ私は……
「ああああああああああああああああ!!」
先程の自分の行動を思い出して叫ぶことしか出来なかった。