表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
164/165

緊急招集の理由

どうやってもあの2人が苦戦する様が思い浮かばなかったのだが、不自然なほどにゲートに誘導するリルに根負けして変身することにした。


とは言え、キツネの衣装は既にコンに引き継がせているので、私が変身するのはこちらの方である。


最後の決戦の時に何処からともなく現れた神装:黒百合。


最後の戦いの後もこの衣装は消えず、私の求めに応じて現れてくれる。


戯の方もそれは同様であり、この黒百合と同等の力を持つ白薔薇を装備している限り、あらゆる不浄を跳ね除けて浄化する事が出来るだろう。


「それじゃ見てくるけど、本当に大変な出来事が起こってるんだよね?」


「も、もちろんだ。

日向の手が必要なのだ」


「一応信じるけど、これが悪戯だったりしたら……」


「し……したら?」


「それはもちろん調教に決まってるじゃん。

じゃあ、行ってくるね」


「あ!ちょ、待て、日向!?」


慌てた様子のリルを確認しつつゲートを潜る……やはり何か裏があるようだ。


「あれ……ここって……スイーツヘブン?」


目の前に現れたのは私がかつてアルバイトをしていた場所であった。


慎重に中に足を踏み入れてみる。


建物の中は真っ暗だったが店内の間取りは未だに覚えている。


中央まで歩いたところでパッと明かりが灯る……と、同時に止まっていた時間が動き出したことを感じた。


「お姉ちゃん、お誕生日おめでと〜!!」


「姉ちゃん、おめでとう!!」


パン!っと何かを鳴らす音が聞こえたと思ったら、目の前によく知った顔が2つ現れる。


「え……戯に、日和?

何でこんな所に……それに誕生日って……」


私がそう言うと2人は悪戯が成功したように笑った。


「ほら、やっぱり忘れてるよ。

最近は電話で連絡取っても元気無さそうだからそうだと思ったんだ」


「さっすが日和お兄ちゃん!

大好きなお姉ちゃんの事は何でも分かるって感じ?」


「ば、ばか……揶揄うなよ。

姉ちゃん、俺達だけじゃないから後ろを見てみなよ」


そう言われて後ろを向くと、そこにはセッちゃんや美幸さん、真由美さんもいて手を振ってくれていた。


「ひーちゃ〜ん!

寂しかったよぉ!!」


泣きながら私に突進してきたセッちゃんを受け止める。


「私も……私も寂しかったよ。

会えて本当に嬉しい」


「ひーちゃあああん!!」


私の言葉に涙腺が崩壊したセッちゃんを抱きしめて頭を撫でる。


釣られて私の目元まで涙が浮かんできていた。


「日向ちゃん、お久しぶりです。

これ、私と真由美ちゃんで腕によりをかけて作った誕生日ケーキなんで食べてください」


「日向ちゃんがいなくなってからお店寂しくなってるんですよ。

偶にはこうして帰ってきて手伝ってくださいね」


美幸さん達はそう言って巨大な建造物にかかった布を取る。


そこから高く積み重なった、ウェディングケーキのような物が出現した。


「え、でかっ!?」


「腕によりをかけたら大きくなり過ぎちゃって……まぁ、ちょうど良かったですけど」


「ちょうどいい?」


「ほら、いい加減に諦めて出て行くコンよ」


「ここまで来ておいて会わずに去るなどと言うなよ」


店の奥から懐かしい….…コンと疋様の声が聞こえる。


「……あれ?疋様がこっちにいるってことは……」


まさかと思いつつも心臓が高鳴るのを感じる。


ドキドキしながら奥の方を見ていると……そこから私が1番会いたかった人物。


真守が照れ臭そうに出てきたのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ