表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
154/165

茶番の戦い

世界を隔てる通路の一画。


ここでは2人の女性が雄叫びを上げながら戦い続けていた。


1人は黒のライダースーツを身に纏い、黒いチョーカー首に巻いた金髪の女性。


もう1人は胸元が大きく開いた巫女服を着た黒髪の女性。


2人の動きはまるで鏡写しのように同じで、交互に攻めと受けが変化していく。


何も知らない者が見たら流れの決まった型稽古、もしくはカンフー映画のアクションシーンを見ているような気分になるだろう。


それ程までに実力が拮抗した者同士の戦い……もしもこの戦いを見ることが出来たものは100人が100人、そう答えるだろう。


だが、戦いながら巫女服の女性が叫ぶ。


「何故だ!

お前には私の力も技も全て託した。

今のお前なら私をいつでも殺せるというのに……いつまでこんな茶番を続けているつもりだ」


そう……巫女服の女性……疋が言う通りである。


この戦いは実力の拮抗した者達がしのぎを削っている訳ではない。


強者が弱者の動きをコントロールして拮抗した勝負に見せている……ただそれだけの戦いだった。


疋は理解していた……自分が戯の言う事に逆らえないことを。


そして、それを知っていた上で、戯は疋を仲間に引き入れて利用しようとするだろう事を。


だからこそ、戯の監視が無いうちに真守に接触し、長い時間をかけて己の力と技を全て託し終えたのだ。


残りカスのような力しか持たない自分は、ライダースーツの女性……愛弟子である真守に秒殺されるだろう。


それでこの長い戦いから解放され、愛弟子は最愛の人へ駆けつけることが出来る……かつての自分は出来なかったことを。


戦いが始まった時は、全てを悟った弟子が全力でこちらに向かってくると思った。


しかし、現実はそうはならなかった。


弟子は……真守はこちらの攻撃を易々と見切る。


そして、反撃する攻撃は鋭いものの、自分たちの流派の基礎的な動きしかしてこない。


故にどれだけ鋭かろうが、容易に読んで対処が出来る。


ならばワザと攻撃を受けて倒されれば良いのでは無いかと考えた。


だが、それは出来ない。


疋は直接戯に頼まれて真守と対峙しているのだ。


ここで手を抜けば何のために2人を裏切って戯に従ったのか分からなくなってしまう。


こうして、2人は茶番とも言える行為を続ける事で、無為に時間を浪費していくのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ