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行ってきます

「ふーん……これが招待状ねぇ。

珍しいじゃない……戯がここまだ自分から動くなんて」


「僕はずっと背中を押すだけで傍観者を気取っていたからね。

それは僕の場所まで上がってくる人間が誰もいなかったからさ。

下で色んな人が舞台を踊っている中で、1人だけ上で踊っても虚しいだけでしょ?

だから、上から指示を出すだけの傍観者に徹していたんだよ……それで満足だと思ってた」


「今は違う?」


「ああ、そうさ!

お姉さんが……日向が僕の場所まで上がってきてくれた。

こんな晴れやかな舞台は本当に……本当に久しぶりだ。

だからこその招待状さ」


そうして差し出されたカードを見る。


そこには私と真守、それに加えて疋様の名前が書いてあった。


「何で疋様の名前まで?」


「彼女は案内人さ。

彼女なら僕がいる場所がきっと分かるだろう。

それじゃ、僕は先に舞台に上がって待っているよ……そうそう!

無視しても構わないけど、そうなったらこの世の生き物全てが死滅すると思ってもらって構わない。

まぁ、ここにいるお姉さんの加護で護られた人達は無事かもしれないけどね。

その場合は期待外れだったけど、お姉さん達は見逃してあげる。

ここに用はないから、次の世界で傍観者に戻るさ」


そう話す戯の声色は少し寂しそうな気がした。


「それじゃ……本当に待ってるから」


最後は恋人に縋るような声で語りかけ、彼女はゲートを開いて消えていった。


「あれが日向ちゃんの敵なんですね」


「あれ、本当に人間なの?

こんなに怖いと感じた事は無かったんだけど」


美幸さんと真由美さんが心配そうな顔で私に駆け寄ってきた。


「姉ちゃん……俺、姉ちゃんを信じてるから!」


日和はそう言って私に拳を突き出した。


私はそれに応えるように拳を突き合わせる。


「ひーちゃん……私はひーちゃんが逃げてもずっと友達でいる。

だから、後悔しない選択をしてね」


「ありがとう、セッちゃん。

美幸さんも真由美さんも日和もありがとう。

私の心は決まってる……行くよ!

無垢なる姿で……いま、嫁入りを願います」


変身のワードを口にする事で私はキツネ:白百合へと変身する。


全ての衣装を身にまとい、最後にスマホに付いていた鈴が巨大化して私の首にかかる。


「日向ちゃんの最終フォームってやつですかね。

素敵ですよ」


「本当に変身するんだ……ビックリしたけど似合ってるじゃないの」


「姉ちゃん、最高にイカしてるぜ!」


「ひーちゃん……絶対に無事に帰ってきてね」


「みんな……必ず帰ってくるから!

行ってきます!!」


こうして私は店の外に出て行ったのだが、外では2人の知った顔が私を待ち構えていた。

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