システムトラブル
「なるほどなるほど……決して僕の思い通りにはさせないと。
正反対のコンセプトの意味はそんな所かな?」
「そういう事。
今回の事については感謝してるけど、それはそれって事だね」
「あっはっはっ……いい、良いよそれ!
最高だなぁ……面白くなってきたなぁ……こんなに面白い世界は今までに無かったよ。
……うん、決めた!
この最高の世界にはキチンとした舞台を整えよう。
そういうわけで僕は帰るから……後の始末は自分でやりなよ。
ここにいる奴らを倒したらもう出てこないはずだから」
「あ、待って……」
止めようとしたが、戯はゲートを生成するとすぐにそこに飛び込んで閉じてしまった。
辺りを見回すと、神の遣いがまだ数体ウロウロとしているのだが、彼らは明らかな戸惑いを見せていた
「九尾……九尾はどこに行った?」
「微かに気配がするぞ」
口々に九尾を探している事を呟いているが、私には殆ど見向きもしない。
「本当に神様ってシステムなんだ……予定外の事が起きても考える脳が無いから対処できないんだね」
自分がこんなものに取り込まれていたらと思うとゾッとする。
兎にも角にも、コイツらをサッサと片付けてしまおう。
「コン、いけるね?」
「大丈夫だコン!
今までに無いくらいに絶好調だコン!!」
白百合を通して加護を送る事が出来る様になった為、コンは今までよりも遥かに大きな力を引き出す事が出来るようになったようだ。
「九尾の気配だ」
「だが、あれは八尾だぞ」
「とにかく連れて帰るんだ」
私が魂魄を構えて力を引き出した事で、神の遣い達が一斉にこちらに向かってくる。
取り押さえようと先走った1人が私に向かって突進してくる。
魂魄を構えたままだ棒立ちになっている私に触れた……と思った矢先に遣いの1人は細切れになって霧散する。
「一斉に術で縛れ!」
遣いの1人がそう叫んだ瞬間に、神の遣い達は何かの術を使い始めた。
その直後に私の周りに白い帯が無数に現れ、それ縮んで体を締め付け始めた。
「へぇ……こういう事も出来るんだ」
「日向、その構図は色々危ないからサッサと脱出するコン」
確かに光の帯が胸の上の部分と下の部分を締め上げているせいで、凄い事になってしまっている。
「はいはい……よっと!」
私がちょっと力を入れると帯は全てまとめて引きちぎれてしまう。
「神の縛りが破られただと?」
「次のマニュアルは……」
「こんな事前例にないぞ……次はどうすれば……」
どうやら、あの術で縛り付けて神の元に連れて行くと言うのが彼らの定石だったらしい。
それが破られたせいで次の対処が思い付かずにオロオロとしている。
「後は片付けるだけなんだけど……あ〜あ、あの日傘があれば加護放出で一掃出来るんだろうけど。
コンは似たような事出来ないの?」
「放出は苦手コン……でも留めておくのは得意だから、一個思いついたからやってみるコン」
「そう言う事なら……そっちに加護回すね」