神の遣いと予想外の援軍
ちょっとバタバタしているので今週の土日は一話ずつでお願いします。
「え?うそ……なんで!?」
慌てて尻尾を数えるが、事実として九本になっている以上、間違っても減る事はない。
神のシステムというのがどう動くか分からないけれど、とにかく何とかしなければ。
とりあえず変身を解除しようと試みる……が、解けない。
「え……何で……」
「迎えに来たぞ、九尾に至った者よ。
我は神の遣い……其方を神として迎え入れようぞ」
突然、目の前の空間が裂け、そこから人型の何かが現れる。
それは不浄とは逆に光り輝く存在。
「い、いや……私は神になんかなりたくない」
「九尾よ、お前の意思は関係ない。
九尾に至った者は神となり、この世を見守る存在になる……それは変えられぬ定めだ」
そう言って神の遣いがこちらにやってくる。
いやだ……みんなと離れるのも、真守と離れるのも、私という存在が失われるのも全部嫌。
でも、神様相手にどうしたらいい?
そんな問答を頭の中でしているうちに、神の遣いは目の前までやってきていた。
怯える私に手を伸ばそうとした、その時だった。
神の遣いは何者かによって思いっきり吹き飛ばされた。
「相変わらず神様ってのは無粋で嫌になっちゃうね。
嫌がる女の子へのおさわりは禁止だよ」
声のした方を振り向くとそこには黒薔薇を身に纏った戯が立っていた。
「戯……今度は何しに来たの?」
「やだな〜助けに来たのが見て分からない?
僕もね、お姉さんが神様になっちゃったら困っちゃうんだよ」
「それは敵として厄介って意味?」
「あっはっはっは、そんな理由じゃないのはもう分かってるでしょ。
神のシステムとして組み込まれたお姉さんと戦ったって何も楽しくないじゃないか。
それに……こいつらは昔っから気に入らなくてね」
そう言いながら吹き飛んだ神の使いに仕込み刀を投げ付ける。
その一撃を受けた遣いは不浄が浄化した時のように霧散して消えていった。
「これで……大丈夫?」
「残念ながらそうはいかないんだよね」
戯が両手を上げて首を傾げた時であった。
周囲の空間に無数の亀裂が走り、何十という数の神の遣いが現れた。
「こいつらはお姉さんが九尾である限り、いつでも何処でも幾らでも現れる。
絶対に諦めないし、逃れられない……それがら神のシステムさ」
「そんな……それじゃ、どうしようもないじゃない!?」
「お姉さんさぁ……人の話聞いてた?
こんだけヒント与えてるんだから、いい加減気付いてよ」
「……ヒント?」
「はぁ……しょうがないなぁ。
最後のヒントは僕が着ている黒薔薇だよ。
これは何で出来ていると思う?」