いつの間にか増えた
5-5です。
10/16 誤字報告受け付けました。
いつもありがとうございます。
「ただいま」
日和が帰って来て早々に私の部屋へとやってきた。
「お、お帰り……」
「姉ちゃん何かした?
というか、何があったか知ってるよな。
気絶したあの人居なくなってたし……」
「は、ははは……」
「因みに2人に何があったかはバッチリ覗いていたコン」
「あ、こら!?」
唐突に現れて告げ口するコンを抑える。
結局、気絶していた風子を放っておく訳にもいかず、瞳術で記憶を少し抜き取って、彼女の家の自室へと放り込んできた。
会話の内容は分からなかったが、恐らく逆恨みだったのだろう。
その負の感情が不浄に呑まれ、堕ちかかっている傾向が見えたので浄化して帰ってきたという経緯がある。
しかし、既に回収して居なくなった彼女を見て私が介入したと考えるとは……我が弟ながら恐ろしい洞察力である。
「日向……何を考えている分かっちゃうから言っちゃうコンけど……そんなの、誰が考えても日向の仕業だと思うコン」
「今のところ、俺の周りでそんな事出来るの姉ちゃんしかいないからな。
そもそも変身したまんまじゃん」
「え?あ、解除し忘れてた!?」
日和が家に帰ってくるまでの間に一連の事を済ましてきたので、割と突貫作業であった。
そのために私はキツネ状態で部屋にいたという事に今更指摘されて気付いた。
「姉ちゃんも相変わらず抜けてる所があるよな。
……あれ?……なんか違和感が……」
私の様子を見て笑っていた日和であったが、ふと真剣な視線をこちらに向ける。
「え?何があった?」
「いち、に、さん……尻尾増えてない?」
「ええ〜ちゃんと変身した時に7本だって確認したんだよ。
ほら、いち、に、さん……はち?」
「いち、に、さん……確かに増えてるコンね。
一体どのタイミングで増えたコン?
というか、これで歴代最高の八尾に並んだって事コンね……もう、今更驚かないコン」
「いや、そこは素直に驚こうよ!
私が一番戸惑ってるじゃない!?」
よく分からないタイミングで尻尾が増えたことに対して、2人の反応はかなりドライであった。
「いや、俺も詳しくは分からないけど……姉ちゃんってこの活動始めたのは夏休みの間なんだよな」
「そうだコン」
「2ヶ月くらいで尻尾がここまで増え続けたんなら、明日9本になってても大して驚かないよな」
「普通にありそうで怖いコン」
「いや、明日九尾になってたら姫巫女様と言った歴代の巫女達に申し訳なさ過ぎるから!」
そうは言ったところで、既に八本にまで増えた尾が減るわけではない。
このあり得ない状況にただ困惑するのみであった。