表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
129/165

日和とセツナ

今日は一気に5話更新です。

姉ちゃんの唐突な提案でセツナさんを送る事になったのだが……先程と違ってセツナさんは大人しかった。


俺も何を話したらいいか分からずに無言で歩いていたのだが、セツナさんがポツリと溢すように呟いた。


「ひーちゃんってさ……あんなに可愛いのに、とっても強いよね」


「……そうですね。

多分、いま師匠……真守さんがいなくて寂しいと思うんです。

でも、周りに心配かけないように空元気で振る舞ってるんですよ」


「うん、分かるよ。

実は私ね……最初はひーちゃんに酷いことしちゃったんだ。

でも、そんな私を許して、助けてくれて友達になってくれた……だから、出会って日は浅いけど、ひーちゃんのことが本当に大好き。

ずっと仲良くして欲しいと思ってる」


「そう……なんですね。

俺も、俺も全く同じですよ」


「同じって?」


お互いに顔を合わせないまま、言葉だけを紡いでいく。


「俺も姉ちゃんに酷いことしちゃったんです。

でも、姉ちゃんは自分も悪いからって許してくれて……誰が相手だってそうなんですよ。

長いとか短いとか関係ない……自分が大切に思う人達が困ってたら放って置けない人なんです。

だから、俺も姉ちゃんのことは大好きだし、弟として産まれて良かったって思ってます」


そう言いながらふと隣を見上げる。


見上げた先にはセツナさんの顔があり、彼女は同じように俺の顔を見ていた。


「ふふ、ひよ君って私って同じだね。

ひーちゃんに助けられて、そんなひーちゃんが大好きで……心の中で寂しがってるから、一緒にいて元気づけたいと思ってる……でしょ?」


「はは、そうですよ。

俺だけで真守さんの代わりになるか不安だっんですけど……セツナさんも一緒に姉ちゃんを支えてくれるなら安心です」


「ひよ君って……何だかいいね。

ねぇ……折角並んで歩いてるんだし、手を繋がない?」


セツナさんはそう言って立ち止まり、手を俺の前に出してきた。


「え?でも、こんな子供とじゃ変に思われますよ」


「それこそ知らない周りから見たら姉弟に見えると思うから大丈夫だよ」


「……それもそうですね。

それじゃ、失礼します」


そう言ってセツナさんの手を握って先を歩き出す。


彼女のペースに合わせながら。


「ひよ君ってこうやって女の子と手を繋いで歩くの初めてじゃないの?

なんか慣れてる気が……」


「え?いや、初めてですよ。

夢の中で経験したんじゃないですかね?」


「それじゃ練習の成果が出てる感じだね。

一緒に歩いててとっても心強いよ」


「え……あ、ありがとうございます」


こうして俺とセツナさんは手を繋いで歩いていたのだが……事件は彼女の家の近くで起きた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ