盛大に立ったフラグ
本日3話目です。
「えーっと……つまり、田辺さんも俺と同じように姉ちゃんの事を知ってる人って事?」
これまでの経緯を日和も交えて話す。
我が弟は賢いので、困惑しながらもすぐに理解してくれた……セッちゃんの腕の中で。
「私の事は名前でいいよ。
私もひよ君って呼ぶから」
「え、あ、ええ!?」
動揺しながらこちらに助けを求める視線を送ってくるが、私は首を振った。
セッちゃんが楽しんでいるようだし……何より、この状況が想像以上に面白い。
なので、私はセッちゃんを止めずに放置することにしたのであった。
「いいな〜ひーちゃんはこんな可愛い弟がいて。
私、一人っ子だから兄弟に憧れてたんだよね」
「なら持って帰る?」
「え、いいの!?」
「ね、姉ちゃん!?」
「ぷ……じょ、冗談だって……」
軽くいった冗談のつもりだったのに、真に受ける2人がこれ以上ないほどに面白くて笑いが止まらない。
「まぁ……でも、もうそろそろ暗くなってくるし駅まで送ってあげたら?
男の子なんだしその位出来るでしょ?」
道場でもこのくらいの時間に行き来してるのだから、そのぐらいは日和にも出来るだろう。
セッちゃんも気に入ってるようだし、素敵な女性を送り迎えする事で紳士度を高めたまえ、弟よ。
「え?そんな、悪いよ。
1人で帰れるから」
「いや……姉ちゃんのいう通りだな。
こんな子供じゃ頼りないかもしれないけど送って行きますよ」
「日和もこう言ってるし、折角だから送っていってもらいなよ」
「そ、それならお願いしちゃうかな。
よろしくね、ひよ君」
「こちらこそよろしくお願いします」
こうして家を出た2人を見送って自室に戻る。
「日向が送って行かなくて良かったコン?」
「それでも良かったんだけど……セッちゃんって、今回の事件で男に不信感持っちゃってる気がするんだよね。
でも、日和の事は何故か警戒心も無く気に入ってたみたいだから……リハビリみたいなもんだよ」
「案外本気になったりしないコンか?」
「え?まさかぁ……高校生と小学生だよ?
セッちゃんも可愛がってたとはいえ、ペットとかぬいぐるみ感覚だって。
まぁ、よっぽど日和がナイトみたいな護り方して格好良く見えたとかならあるかもしれないけど……無いよね?」
「いま、旗が立った気がするのは気のせいコン?」
「き……気のせい気のせい!
きっと普通に帰ってくるって」
この時の私は完全に失念していた。
最近立ったフラグは殆どがしっかりと発動していたという事に。