他にもいた止まらない人達
「ひーちゃん、おかえり!
無事で良かったよ」
帰還早々にセッちゃんが私に抱きついてくる。
「心配かけてごめんね。
無事を祈ってくれてたよね?」
「うん……ひーちゃんの不思議な力の事を考えたら、きっと何処かで戦ってると思った。
だから無事に戻ってきてっていっぱいお祈りしたよ」
「その気持ちが届いたおかげで助かったよ。
ありがとね、セッちゃん」
「私の応援届いてたんだ……えへへ、嬉しいな」
そう言って顔を赤らめて照れるセッちゃん。
「日向、もうそろそろ時間が動き出すコン」
「あ、じゃあ変身を解いて……セッちゃん。
説明は後でするからとりあえず席に戻ろう」
「うん、分かったよ」
こうして席に戻った私達だが、セッちゃんが明らかにソワソワしているのが分かる。
まぁ、友達が不思議な力持ってて、非現実な出来事に巻き込まれたらそうなるよね。
学校が終わったので説明の為にもセッちゃんを誘う。
この話は他の人に聞かれない方がいいだろうと言う事でスイヘブまでやってきた。
「ここ、私がバイトしてる店なんだ」
「ええ、セッちゃんスイヘブでバイトしてたの!?
私、たまに寄ってたけど全然気付かなかったよ」
「バイトし始めたのは最近だからね」
「あ、そうなんだ。
私は例のあの子と一緒に行ってたから最近は来てなかったんだよね」
そう言ってセッちゃんの顔が若干暗くなる。
「今度は私と一緒に行こうよ。
それに私が仕事してる時は遊びに来ていいよ。
セッちゃんなら大歓迎だから」
「ほんとに!?
ひーちゃん優しいから好き!」
そう言って軽くハグしてくるセッちゃんと戯れながら店の扉を開ける。
「あら、日向ちゃんと……以前よく来てくれた子ですよね?
「あ、覚えてくれてるんですね」
「この子は私の友達のセツナちゃんです。
美幸さん、セツナちゃんに話したいことがあるので奥の席良いですか?」
「もちろん構いませんが……何かありました?
今日も戦ってたんですよね?」
「え、何で美幸さんが知って……ひょっとして周りの時間が止まりました?」
「ええ……何故か真由美ちゃんも一緒に。
混乱する真由美ちゃんを宥めるに苦労しましたよ」
心底疲れた様子でため息をつく美幸さん。
「それは……本当にごめんなさい。
それじゃ、真由美さんも一緒に説明した方がいいですね」
「分かりました。
2人の席に真由美ちゃん向かわせますね」
こうして私たちは奥の席へと案内されたのであった。