店長、制服に迷う
4話一斉公開の4話目です。
次回の更新は1時間後となるのでよろしくお願いします。
「2人と話してましたけど、どうでした?」
バイトリーダーに問われた私は親指を上げて答えます。
「バッチリですよ。
2人には今度の週末に来てもらうことになりました」
「それは良かったですね。
あの2人を組ませて仕事させれば、それを目当てに来るお客さんも増えそうです」
「確実に増えますね……彼女達がスイーツを選びに行っている間に視線集めていましたから」
「そうなってくれると嬉しいですね。
ところで店長……あの2人が仕事に来るなら考えなくちゃいけない事があるんじゃないですか?」
「何かありましたっけ?」
「制服ですよ!
大きい方の子はサイズが無いですし、小さい子の方は一部分が大きすぎて入らないんじゃないですか?」
「ああ……言われてみれば……」
この店の制服はピンクか水色の水玉のシャツに黒のスラックス。
腰に茶色いエプロンを巻いてもらっています。
そして、今の店には平均的な身長や体型の女の子達しかいないのです。
確かにあの2人に合うサイズの制服が無いのですが……
「マガミちゃんの方は大きいサイズを頼めば良いんですけど……ヒナタちゃんかぁ。
いっその事こと、前を開けて貰いますか」
「それじゃ如何わしい店になっちゃいますよ」
頭の中で一旦想像してみましょう。
制服の前を開けた状態であのボリュームの谷間を晒す……うん、絶対にダメですね。
あれは同性すら狂わせる代物でしょう。
「あ、それならスカーフか何かで隠してしまえば良いのでは?」
「それが1番ですかね……私、大きいのに憧れは抱いていたんですよ。
でも、こういう悩みがあると大変ですね」
「そうですよねぇ……まして急激に成長したと考えると色々と違って悩みが出てきそうです」
「急激に成長!?」
私がポツリと呟いた言葉をバイトリーダーは逃しませんでした。
「え、ええ……夏休み前までは小さかったらしいですよ」
流石に2人の事情は話せないので嘘では無い程度の話をします。
しかし、バイトリーダーの瞳が希望に輝きはじめます。
「つまり、私にもまだワンチャンあるという事ですか!
そうですよね、そう言う事ですよね!?」
「さっき、大きいのは大変そうだって言ってませんでしたか?」
「それとこれとは話は別です!
なれるならなりたいものなんですよ!
大きくなって肩が凝るなんて自慢したい!!」
「欲望に忠実なのが貴女の良いところですが……忠実過ぎるのも問題ですね」
結局、希望に満ち溢れた彼女に対して真実は言えず……曖昧に頷く事しか出来なかってのでした。