最後のお仕置き対象
本日2話目です。
思いっきり泣きじゃくり、少しずつ冷静さを取り戻す。
考えたらここは人の多いハンバーガーショップの中だ。
その中で女の子が大声で泣き叫んでいたら周りに変に思われたのではないか?
そう思って周りを見渡したのだが……気にしている人はいないようだ。
あるものはグループで楽しく談笑しており、あるものはテーブルにノートパソコンを持ち込んで作業をしている。
「ひーちゃん、これって……」
「周りの人達には普通に話しているように見えてるから気にしなくていいよ。
気持ちを切り替える為に泣ける時にはしっかり泣いておかないと」
「あ、もう大丈夫だから……ありがとね」
「そっか。
じゃあ、術を解くね」
ひーちゃんがそう言った瞬間に周囲の空気が……なんとなくだけど変わった気がした。
「ひーちゃんって凄いんだね」
「変な力持っててビックリしたでしょ。
怖くない?」
「全然!
だって、ひーちゃんってこんなに可愛くて優しいのに、不思議な力も持ってて、強くて……私なんかが友達名乗っていいのかなって……」
私は率直な感想を答えた。
こんなに素敵なひーちゃんの友人に、私なんかがなっていいんだろうかと。
そんな私にひーちゃんは笑顔を向けてくれた。
「普通はこんな力持ってたら怖がったり、不気味がったりすると思うんだ。
でも、セッちゃんは凄いって言って受け入れてくれた……だから友達になりたいって思ったんだよ」
ひーちゃんはそう言って私に手を差し伸べてきた。
その意図に気付いた私はその手を取り……握り返した。
「これからよろしくね」
「うん、よろしくね」
「ところで……話は変わるんだけど、後1人お仕置きしなくちゃいけない子がいると思うんだよね」
「……」
その1人は私を裏切った幼馴染の風子の事だろう。
「セッちゃんが望むなら夢の中から直接でも何でも気の済むようにお仕置きしてあげるけど……どうする?
言っておくけど、このまま放置したら別の不良グループと手を組みそうだから見逃すのは無しだよ」
「……私が……風子のことは私に任せてくれない?
あの子は私の幼馴染で……だからこそ、私が……」
「分かった、任せるよ」
「え?」
反対されると思ったのに、あっさりと許してもらえて肩透かしを喰らう。
「但し、私もその場にはついていくし、何か危なそうだったらフォローする。
それでいい?」
「う、うん……十分すぎるほどだよ」
こうして、私は自分の手で風子と決着をつけることにしたのだった。