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ひーちゃんの優しさ

本日は4話あげます。

先ずは1話目です。

「はぁ……ひーちゃん何処に行っちゃったんだろ」


ここで待っててと言われてから30分。


急に飛び出したひーちゃんを待ち続けていた。


「やっぱり怒ってて揶揄われてるとか……でも、そんな事するような子には見えないし」


正直、夏休みまでは大きな印象を持っていなかった。


だが、何かの変化があったのか?


ひーちゃんこと稲荷日向、そしてその親友である大山真守は非常に目立つ存在となっていた。


クラスどころか学校で一番の美人と、可愛い2人が常に仲睦まじく過ごしているのだ。


目立たないわけが無いし、校内でもあの2人を見守るファンクラブのようなものまで出来ていたのを見たことがある。


しかし、噂というものは良し悪しで、今回は悪い奴らの耳に入り、ひーちゃんのような男ウケする女性が狙われてしまったのだ。


私の自業自得でひーちゃんまで巻き込んで迷惑かけたのに友達になろうなんて烏滸がましかったのかな?


夢の中で私はお仕置きをされていた。


でも、そのお仕置きは一方的な罰ではなく、私のことを心配する想いが込められていた。


人を裏切ってり貶めたら後悔すると……そんな優しさを感じ取れたのだった。


だから、私は仲良くなりたいと思った……この人なら本当の友達になってくれるんじゃないかって。


でも、夢は夢だったのかもしれない。


「はぁ……もう帰ろっかな……」


「帰っちゃうの?」


「え、うわ、ひーちゃん!?」


ポツリと出た呟きに答える声があり、驚いて振り向くとそこにはひーちゃんがいた。


「待たせちゃってごめんね。

なにか用事があったんなら……」


「ないない!

用事なんて全然無いから」


「え、そうなの?

じゃあ……待たせちゃってごめんね。

あいつ等とは話をつけてきたから」


「あいつらって?」


「あの不良グループ。

もうセッちゃんに悪さしたりしないって。

データも全部消してきたから大丈夫」


「え……本当に?」


ひーちゃんの思いがけない言葉に戸惑いながら尋ねる。


「ほんとほんと。

もうセッちゃんに悪さしないようにお仕置きもしといたから安心していいよ」


「ひ、ひーちゃん……」


自分でも止められないくらいに涙がポロポロと溢れてきた。


脅されることがなくなった安心感はあったのだろう。


だが、それ以上に友人と思っていた女性に裏切られた直後に、自分が嵌めたにも関わらず、友人だと言ってくれ、自分の為に行動してくれたひーちゃんの優しさが心の中に染み渡っていた。


「よしよし、今まで辛かったね」


ひーちゃんはそう言いながら私を抱きしめ、背中をポンポンと優しく叩いてくれた。


ちっちゃくて可愛いひーちゃん……でも、その時は自分より少し大きな男の人に抱きしめられてるような感覚がした。


その安心感に任せて、私は思いっきり泣いてしまったのだった。

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