日向のお悩み相談室
田辺さんの話を要約すると、彼女が友達と遊んでいたところに不良グループの中でも比較的顔の良い奴等がやってきたそうだ。
カラオケで部屋代を奢るからと言われ、友人が了承したので遊んでいた。
いつの間にかお酒を頼んでいたのだが、自分は飲まないから関係ないと思っていた。
だが、テーブルにお酒がある状態で彼女だけが映っている写真を撮られていたらしい。
それを飲酒の証拠写真として脅されたのだが、当初は自分は飲んでないから脅しても意味は無いと突っぱねたらしい。
だが、この時一緒に遊んでいた友人の証言で彼女は自分が嵌められた事に気が付いた。
友人は自分は止めたが田辺さんは飲酒をしていた。
飲み過ぎて記憶が飛んだから覚えてないだけだと言い始めたのだ。
友人に裏切られたショックから自棄になった彼女は、脅されるままに今回の暴挙に及んだらしい。
「謝って許される事じゃないけど……ひーちゃんのお陰で目が覚めたし、最後の一線を超えなくて良かった。
あのままだとズルズルと脅され続けただろうし。
あの画像が学校に出されたら停学か退学になるかもしれないけど……それはひーちゃんを騙した罰だと思うんだよね」
「なにそれ……田辺さん、全然悪くないじゃん。
悪いのはその友人を騙った最低女とあのクズ共でしょ」
「ひーちゃん……そう言ってくれてありがとう。
……あはは、こう言う時に怒ってくれる人が本当の友達なんだね」
田辺さんはそう言いながら涙を浮かべていた。
「田辺さん……下の名前ってなんて言うの?」
「え?……セツナだよ」
「じゃあ、セッちゃん!
私、ちょっと行ってくるから少しここで待ってて」
「え?ちょっ、どこに行くの!?」
「セッちゃんの悩み解決してくる!」
こうして私はセッちゃんを置いて飛び出した。
向かう先は先程のビルの地下。
先程は手加減したが、今回は不要であろう。
「嫁入りを願います」
キツネへと変身した私は久しぶりにお面を被る。
「あいつ等にどんなお仕置きをしてやるべきかな……少し様子を探ってから決めようか」
これからどうしてやろうか……そんな事を考えつつ、再び扉を開くのであった。