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tell out

作者: 紀希



どの選択をすれば、


私は。



幸せになれるのだろうか



占い。宗教。思想。薬。


私は、全てを試した。



なのに。


どうして。



『幸せになれないの?』



周りが次々と、


色んな形で成功を遂げてゆく。



結婚して、子供が産まれ。


社会的地位すらも確立し、


毎日。1日1日を。


輝くかの様に送っている。



私は、、。


暗い部屋の中で。


ただただ、、



"光"をあびる日を待つだけ。



どうして?


どうしてなの、、、?


どうして、私は


どうして私は!!!



どうしてえぇ!!!!



頭は破裂しそうな程に。


処理を続けたまま。


また、新しいデータを加える。



幸せになりたい。


私も。



『生きてみたい。』



プルルルルル。


「はい、、、。」


「今。お困りですか?」


何となく通話を押してしまったが、


画面には"非通知"と表示されていた。



「どなたですか?」


「私は。あなた様の様な方々が。


『最善の選択』が出来る様に。


お手伝いをさせて頂いている者です。」


「最善の選択、、?」


私はいつも選んで来た。


私の。私なりの。ベストを。



お手伝いさん「えぇ。左様で、ございます。


私達は何の見返りも求めません。


ただ、幸せになって貰えればと。



それだけが望みでございます。」


憔悴しきった私には、待ち望んでいた、


"最後の光"


だったのかも知れない。



「どっ。どうしたら良いの?」


私は藁にも縋る思いで、


荒れた部屋からペンと紙を探し、


忘れない様にメモを取る。


お手伝いさん「そうですね、、。


まずは、


コンビニに行きましょう。



そして。


水とハンカチを買って下さい。」


「それだけ??」


お手伝いさん「えぇ。


物事には、何にでも。



"きっかけ"



と。呼ばれるものがあります。



これは、その一歩です。」


「うっ、、うん。」


私は着替えて、近くのコンビニへと向かう。


今思えば。何だか、胡散臭かったが。もう、何も。


"自分で出来る事がなかった"為、信じてみる事にした。



「ハンカチっと。



後は、、


水、、水、。」


『あっ。』


知らない男性と。漫画の様な展開が起きた。


男性「すっ、すいません。」


「いぇ、、。いいんです、、。」



水を買い終え、店を出ると再び着信があった。


アドバイザー「どうでしたか?」


「男の人と、、。


会いました。」


アドバイザー「どうでしょう?


少しは信用して頂けましたか?」


「まっ。まあ。


まぐれかも知れないですし、、」


ただ。久しぶりの出来事に、


私は心が揺れただけ。


こんな事何て、、いくらでも、、



アドバイザー「皆さん、はじめは。


そう、おっしゃります。」


「はぁ。、」


現実と、妄想で揺れる。



そんな事。あるわけない。



そう言った、葛藤の中で。


"非現実"を求める私が居た。



アドバイザー「次は。そこから真っ直ぐ進んで、


大きな木のある所の下にベンチがあるので、


2つあるベンチの、左に座って下さい。」


「分かりました。」


アドバイザー「アクシデントが起こるので、その際。


ハンカチを水で濡らして、渡して下さい。」


「はい、、。」


アクシデント?


渡す??


何の事なんだろう、、



考えながら歩いて居ると、


大きな木が見えた。


左、、。



顔も知らない。会った事も無い。


そんな人の言われるがままに。


私は行動する。



他人の言葉で、私は。今。


生きているのだ。


だって、、



"自分で考える事が出来ないから、、"



「私は、、どうしようもないな、、」



自分と葛藤し、しばらく待って居ると、


スーツを着た女性が現れた。



女性は隣のベンチに座り、


パソコンを開いて作業をする。


カタカタ。


私とは違い。如何にも"出来る女"だ。


ホー、ホー。


バサバサ、、


女性「いやっ!



もぉ、、最悪。」



木の上に乗っていた鳩が。


飛び立つと同時に用を足した。


それが、女性のスーツに付いてしまった様だ。


アクシデント、、。


この事かな、、?


「どうしよう、、。」


困ってるし、、。


私はアドバイザーに言われた通り、


ハンカチを水で濡らし、少し絞って。


女性へと渡した。



「あのぅ、、。


良かったらこれ、、」


女性「えっ?、、


あぁ。


すいません、、



お恥ずかしい。」


「でわっ。」


次のミッションは何だろう、、


やる事が終わったので、早く次が知りたかった。


正確には違うが、。私は女性に呼び止められた。



女性「ちょっと、、。


ちょっと待って、、


後でお礼がちゃんとしたいので。


連絡。


下さい。



これから大事な打ち合わせがあるので、、


本当に。助かりました。



ありがとうございました。


では、、、」



女性は忙しいそうに、ベンチを後にした。


「ありがとう」


なんて、いつ以来だろうか。


感謝されるのは、気持ちの良いモノだ。



それにしても、あの人の言ってる事すごいな、、。


もしかして、、


プルルルルル。


「はいっ。」


あの人「ちゃんと渡せましたか?」


「はいっ、。


あのっ、、。」


あの人「ストップ!」


遮る様に勢い良く言われた。



あの人「世の中には、



"知らなくても良い事"



もあるんですよ。」


「はあ、、、。」


近付いている気持ちを、


突き放されるかの様に。


"彼"に距離を取られてしまった。



彼「それで。最後になりますが、、


その貰った名刺に。


3日後に電話をして下さい。」


「最後って事はもう、、」


何だか悲しくなり、寂しくなった。 


もう、話す事も出来ない、、



彼「大丈夫。


これで、少し。


世界が変わるから。



後は貴女次第ですよっ」


「はいっ、、。


丁寧に教えて頂き、ありがとうございました、」


彼「いえいえ。


これが、私の仕事ですから。



でわ、、また。」


「はいっ。


失礼します。。」


まるで、青春かの様な、


1日も続かない、"儚い愛"は、


こうして。終わったのだった。



3日後。


名刺に電話をかけた。


「あのー。


この前。ベンチで、、」


女性「あー!!


ずっと待ってたんですよ?? 



その節は、本当に、御世話になりました。」


「いえいえ。


私は、、。」



"カレノイウトオリニシタダケ"



女性「あの、、。


もし、お時間有りましたら。


お茶でもどうですか?」


「はいっ。


是非。」


女性「じゃあ、、。」



彼女の人生は、彼女の中で


"遇わないであろう人"と出逢い。



『新たなる道』へと。



進んで行くのであった。



彼女がどうなったか?


それは、まあ。



幸せになったんじゃないでしょうか?



「あくまで。それが、私の。



仕事ですから。」







































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