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なろラジ大賞2 応募作品

大魔王

作者: 海堂直也

 魔王の城の薄暗い部屋、一段高い所から鈍く響く声。

 

「皆、揃っておるようだな。」

 

 各地から招集された禍々しき一同。強面の中にも、緊張・神妙が見え隠れ。東西南北地下海空、揃いも揃った魔将軍七人がこの表情。怪訝な顔で一同を見下ろすのは、我等が魔王。


 魔界にこの人あり!と恐れられた魔王の機嫌が悪い。定例会で虚偽の報告があった事が判明。それも、どうやら1つ2つでは無いらしく、将軍達は各々“自分はバレてない”事を願っている。


 「定例会後間も無いが、各自報告をしてもらいたい。」 

 

 魔王が一声放つと空気は更に凍りつく。


東「新たに魔王討伐隊が編成され、第35期は武術家・僧侶が主な構成となっております。」

西「第20〜30期討伐隊は、現在も祠を攻略中。村に立ち寄っていないようで、壁のボタンを見つけられずにいます。」

南「第17期以降、魔王討伐隊の確認はされておりません。」

北「第1〜6期までの殲滅確認後、7・8・9期の塔到着を確認しています。」


地下「マグマの剣は、ケルベロスにより厳重に保管されております。」

海「大海原の盾、クラーケン、共に健在です。」

空「天空の鎧も、コカトリス・魔道士の結界にて封印されております。」


 魔王討伐隊は現在50期、壁のボタンは押さずとも祠攻略、30期までは南で確認済み、6期までの殲滅はしたものの、23期までが塔の下で集落を形成中。 ここまでが魔王の知るところ。東西南北の嘘はハッキリしたが、想定内で問題無し。かつて魔王を倒したと言われる武具の在り処を求め、塔に集まるのも情報操作どおり。絶妙なバランスで魔界と人間界は、それぞれ平和と恐怖を味わっている。


 魔王は一同に叱咤激励を述べ解散を告げる。そして魔王は緊張の面持ちで一人隠し部屋に入ると、目を閉じ手を組んで喋りだす。

「勇者様ご安心下さい。剣・盾・鎧の全て無事で御座います。また勇者様の素質を持つ者も現れていない様子で御座います。」

 

➖しわがれた声➖

おいおい、ここでは大魔王と呼べと言うとるじゃろ! 全く仕様の無い奴め。お前を倒して伝説になるのは儂一人で充分なんじゃ!無駄に復活なんぞしおって馬鹿が!成仏せんで正解じゃ。しかしお笑い草じゃのう、魔王が勇者の幽霊が恐いとは“バレたら”

将軍達の謀反じゃな。ガヒャヒャヒャヒャ!儂は未来永劫唯一無二、お前は永遠に魔王としてふんぞり返っとれ。それがお互いの為じゃ!ガヒャヒャヒャ!


 


     勇者と魔王の関係も絶妙である。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 癒着ですね〜 政治家っぽいと思ってしまいました。 面白かったです、ありがとうございました!
[一言] 1000文字ちょうどはすごいかも。
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