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暗殺者とお嬢様とお嬢様の侍女

侍女とお嬢様と暗殺者

作者: ようせゐ

▷▷▷

暗殺者



今日はいつものように依頼を請け負うはずだった。

それなのに…


なんでドアの前に昔の同僚がいるんだ?

大切なものを見つけただとかで殺しから足を洗ったはずじゃあ…


「あなたに依頼があります。」


「はぁ?そりゃまたなんで…?」


「…ッチ…ここに来てるのは私だって不本意なんです。」


「いや…舌打ちするなよ…」


「…私の大切なものが処刑されそうなので…助けるのを手伝ってください。」


「…お前敬語似合わねぇな…?」


「…私のお嬢様は無実だったんです。」


「はぁ?」


「私はお嬢様に何もしてあげられなかったんです。」


「それがどうしたんだ?」


「お嬢様は何一つ悪くなかったんです。

 私は絶対に…あいつらを許しません。」


「…はぁ…それでそいつらは何をしたんだ?」


「あいつらが何をしたかですか?

 まず…女がいました。

 あの女は、お嬢様の婚約者に手を出しました。」


「そんで?」


「お嬢様はあの女にマナーの注意をしました。

 それだけなのにお嬢様はあいつらから責められました。

 たしかに…お嬢様は人間関係が苦手ではありました。

 けれど、それはお嬢様の命が失われていい理由にはなりません。」


「それで依頼はなんだ?俺に何しろってんだ?」


「…助けてください。

 私の大切なお嬢様を助けてください。

 あなたなら出来るでしょう?」


「まぁ…できるだろうな…そうだな、これも昔の同僚だった縁だ。

 そのお嬢様ってのを俺が助けてやる、まぁ報酬はきっちりもらうけどな。

 …報酬は譲らんが…成功報酬でいい。」


「…ありがとうございます。

 私もあなたに頼むのは不本意ではありますが…

 緊急事態なので仕方ありません。

 ………頼みましたよ?」


「…あぁ…任せとけ」


俺はお嬢様ってやつを牢屋から助けることになった。

成功報酬でいいなんてかっこつけちまったなぁ。

まぁ良いか…どうせ成功しなかったら捕まるからな。


「あぁ、あと…お嬢様に惚れないでくださいよ?」


「それ今言うことか?」


「えぇ、とても大事なことです。」


「…そうか…お前…変わったなぁ…それもお嬢様ってやつのおかげなのか?」


「ちなみにお嬢様は人ですよ?わかってますか?」


「あ?それぐらいわかるだろ」


「そうですよね、それじゃあ…

 明日には処刑されてしまうので、それまでに助けてくださいね?」


「…時間短いな…まぁそれも面白いか!」



▷▷▷

お嬢様


今日が私の最後の日…

昨日は侍女になんだかポエムを聞かせてしまったわ。

なんだか、涙が出ていたから、つい歌ってしまったのよね。


あら、元婚約者の王子が話しかけてきたわ。


「最後に一言、言わせてやる、なにか言うことはあるか?」


「私は、何もしてないわ、目に余る行為を注意しただけよ。」


「…そうか、謝るならまだ許せたものを、お前は死刑だ。」


あれは確か…ギロチンとか言うものだったかしら?

あの刃が首を切るのね…

昨日の夜、最後に侍女のレリナに会えてよかったわ。


さようなら


あら?

なんだか体が浮いているような…

え?


「あなたは誰かしら?」


「…あんたの侍女に依頼されてあんたを助けに来た…暗殺者だよ。」


「そうなの…レリナはそんなことをしてくれたの?……嬉しいわ!」


「…っそーか、良かったじゃねーか…あと、ついたぞ」(笑顔可愛…!


「やっときましたか…遅くないですか?」


「しょうがねーだろ、チャンスがなかったんだから…ってうお!」


「レリナ!ありがとうレリナ…!」


「わっ…お、お嬢様…?」


「大好きよ!」


レリナを見つけて思わず駆け出して抱きついてしまったわ。

はしたないわね…

でももうあの国には戻れないのだし、気にしなくて良いのかしら?

そうだ、暗殺者さんにもお礼を言わないと…


「暗殺者さんも、ありがとう!」


「っ……」(萌死×2


「え?暗殺者さん?レリナ?どうしたの?大丈夫かしら…」




▷▷▷


それから…

お嬢様と侍女と暗殺者は大陸を渡ったところの国で…

幸せに暮らしているそうです。


おしまい




おまけ


「俺はお嬢様に惚れて無い!」


「いや、それは惚れて居ますね…

 だめだって言ったでしょう!」


「…っく感情は完璧にはコントロールできねぇんだよ!」


「まぁ、それは特別に許してあげます。」


「…ありがとな…」


「でも、お嬢様があなたに惚れ始めているのが許せません!」


「それは俺のせいじゃねーだろ!?」


「そうですけど、許せません!」


「は!?」


「何を言い争ってるのかしら?」


「?!」


「どこから聞いてた!?」

「どこから聞いてましたか?」


「?レリナがそうですけど許せません!って言ったところよ?」


「それならいいんだ。」


「ええ、よかったです。」


「二人だけの秘密なんてずるいのよ…?私にも教えてほしいわ!」


「…………」(沈黙×2


「…まぁ、言いたくないならいいのよ…でもできれば教えてほしいわ…」


「俺が、お嬢に惚れてるって話だな…」


「ふぇ?」


「まぁ、そうですね…」


「私も、暗殺者さんに惚れてる…わ?」


「えっ…」


「……」(照れ×2


「この空気辛いですね、やめてくれません?」


「す、すまん…」

「ご、ごめんなさい…」


「早く結婚でも何でもすればいいんですよ…

 お嬢様をここの領主にするぐらいならできますから…

 私をちゃんとお側に置いてくれたら、良いので、

 もう、お嬢様とあなたが結婚してくれればいいですよ…」






という会話があったとか、なかったとか?



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