第82話 作家の彼女
お久しぶりです。
宮野ゆりは作家になる夢を持っている。そんなゆりは音楽から小説を考える天才である。ゆりはチャイコフスキーのピアノ協奏曲をいずれ自分の小説にしてみたいと思っている。そんなゆりはノートに設定や構想を載せていた。ゆりは自分の演奏の投稿に傷ついたショックから立ち直ろうと必死にノートに設定の続きを書いているのであった。
ゆりと美紅はカフェでコーヒーを飲んでいた。
「え?人が沢山死んじゃう作品なの?
そんな残酷な話って作っても読者が悲しむだけじゃない?
しかもメインキャラクターが風俗で身体打っているなんてなんか話重いね。でも、ゆりちゃんって天才?
私プロット読ませてもらったけどここまで女垂らしな主人公は初めて見たよ。」
ゆりの友人であり林理央の同級生でもある作家の一条美紅はそのプロットを読んで驚いている。そのプロットは衝撃的な物だった。官能小説からいきなり衝撃的な展開を見せるのである。
「なになに、タイトルはunder the sea wars 地中海の恋人達、、すごい作品だね。主人公の名は東郷明日夢。
へえ名前の由来は東郷平八郎から取ったんだ。
ヒロインの名前は青山咲。いかにも女子大生にいそうな名前だわ。青山学院に通う美人女子大生なのね。しかも他の女の子達もみんな青学の女子大生なのね。こりゃあ主人公一目惚れしちゃうわ。その咲ちゃんってなんか凄い闇抱えてそうだね。」
「でしょう、私可愛い子がなんか残酷な目に遭っちゃう話好きなんだー、多分そういう小説の見過ぎかな。しかもなんか性欲がなんか爆発しちゃってエッチな作品になっちゃった。
でもね、この作品の主人公の明日夢は、辛い出来事を乗り越えて前に進んでゆくの、そして本当の幸せを掴み取る。
絶望を乗り超えて本当のヒーローになるんだよ。」
「まるで、少年漫画の主人公みたいね。でもゆりの作品設定が重すぎるよ。っていうかえぐいし、こんな鬱小説読んだら絶望しちゃうよ。ツッコミどころ多すぎ。
でもストーリーの進み方は面白い。ミステリっぽいし、ゆりちゃん、、あんた凄いわ。でもまさかこの作品のモデルがチャイコフスキーのピアノ協奏曲なんてね。序奏が二度と再現されない事と官能部分を二度と再現しない事をイコールにしちゃうなんてね。あんた本当にチャイコフスキー好きなんだね。」
美紅はゆりがロシア音楽を好きな事を知っている。チャイコフスキーの白鳥の湖などは美紅も大好きだ。ゆりは自分の中にある負の感情を元にキャラクターが死んでゆく重い作風の作品を好んで書くようになった。感情を揺さぶり読者の心を動かす事で自分の感情表現を小説の文章にぶつけているのである。勿論明るい青春な作品も好きなのである。チャイコフスキーのピアノ協奏曲の構成からこのような作品を思い付くとは尋常な発想ではない。
宮野ゆりという彼女にとって音楽と小説は同じようなものである。美紅と一緒にゆりは歩いていた。本屋に入り、自分の好きな本や興味のある雑誌などを探す。ゆりの目に止まったのは1人の女性作家の雑誌であった。その雑誌をゆりは手に取るとペラペラと捲り始める。オカルトや幽霊を仄めかすような文章が次々と書かれていてゆりの興味を振るい立たせる。
「ねえ、美紅、これ面白そうじゃない?
学校に出る七不思議と幽霊の秘密だって、
ほら、昔あったじゃん。
学校の怪談ってさ。夜の学校に勝手に鳴るピアノとか。
誰もいない筈のトイレから聞こえてくる不気味な水が流れる音。それにトイレの花子さんとか。」
「ああ、あったね。そんなの。そう言うのも小説を書く発想や設定に活かせばいいんじゃん。
私だったら一緒に探検したいな。
そんな怖いところ。」
そんな時であった。書店の外から男の集団がゆりを見ていた。そしてスマホでゆりを撮影している。
その異変に気がついた美紅は、ゆりに話しかけた。
ゆりがふと外を見ると書店の外にいた男の集団の中の1人の青髪の男が不気味な笑みを浮かべると書店の中に入ってきた。
「ねえ、、ゆり、何、あいつら。
なんか盗撮してるよ
気持ち悪いって。」
「え?
何??あいつ、知らない。
何なの??」
すると青髪の男はスマホのカメラを取り出すとゆりを撮影し始めた。そして動画の撮影ボタンをタップすると動画が流れ始めて配信動画が流れ始めた。
「おい!!!!
見ろよ!!!!あのティンパニ奏者の宮野ゆりだ!!!
脱法ハーブに手を出した薬物中毒の最低女子高生だ。
何が、ティンパニーなんか上手くねえだろ。
なんだよ。あんな下手くそなティンパニ叩いて偉そうに音楽家気取ってんじゃねえよ。このブスが。」
「何よ!!!
あんた、ゆりの何がわかるのよ!!!
あの事件はゆりが被害者だったんだよ。薬を入れられてその薬のせいで
誰がブスよ。あんたみたいなクズのせいで、あんた、動画止めなさいよ。今すぐに止めなさいって言ってるのよ。」
美紅は青髪の男に向かって走ってゆく。美紅は青髪の男を思いっきり殴り飛ばした。激しく怒りが爆発していた。
そんな中青髪の男は美紅に殴られてその場に倒れたがすぐに立ち上がると今度は美紅を蹴り飛ばした。
「おい、あんた、やめろ!!!」
異変に気がついた書店の店員が男に向かって止めようとする。しかし、店員の男に青髪の男はサバイバルナイフを突きつけると店員の男の脇腹に突き刺した。店員の男はサバイバルナイフを刺されるとその場に倒れた。そして今度は血の付いたサバイバルナイフを持つとゆりの方へと向かった。
ゆりは首にサバイバルナイフを突き立てられるとあまりの恐怖に言葉を失い、全身から鳥肌が立つのである。
青髪の男はゆりに向かって怒鳴り出した。
「おい、宮野ゆり、お前、知っているんだよ。
ああ?対して上手くもねえ演奏してるくせに、何でお前なんかがネットで有名になってんだよ。お前が有栖川の女子高生の分際で、対して上手くもねえ癖に!!!
お前はゴミなんだよ。社会のクズなんだよ。」
「やめてください!!!
どうして、どうして、私ばっかり責められなければいけないの???ねえ、、どうして、、
ゴミって、、クズって、、、
酷い。やめて、、
やめて!!!!!!!!!!!」
次の瞬間青髪の男のナイフが跳ね返された。
駆けつけた警官が銃で発砲したのだ。発砲した銃弾はナイフを跳ね返すと血の付いたサバイバルナイフは床に落ちる。
そしてゆりは言うのであった。
「私は、社会のクズなんかじゃない!
皆んな、誤解しないで下さい!私は人から好かれようとなんて思ってもいません。でも、ネットに顔が乗ったからってそれで私の悪口を書くなんてそんな酷い事、私は許せません。
だって、私は、悪い事なんか何もしていないもん。
ネットの世界には平気で人を傷つける人がいる。
そうやってあなた達が吐いた言葉のせいでどれだけの人が傷つくか、お願いします。もう、これ以上、私を苦しめないで、
ううう!!!!」
ゆりの顔から涙が溢れでた時に彼女の心は絶望に落ちていった。
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