第74話 もう戻ってこないんだよ
大変長らくお待たせ致しました。約3か月ぶりに投稿します。
水澤茜は目を覚ました。見知らぬ倉庫だった。よく不良達がドラマで喧嘩するような倉庫だ。そうだ。いきなりホールでスタンガンで眠らされて、早くここを出なくちゃ。
「ふふふ、、目を覚ました?
大丈夫、命まで奪ったりはしないから、、久しぶりね。水澤さん!!!」
女の声がした。口を縛られて水澤茜は声が出せない。
すると女は茜の口を縛りつけたテープを外した。
「あんた、、、一体なんの真似??
どうして私にこんな事をすんのよ!!!
まさかゆりちゃんの水筒に脱法ハーブ入れたのもあんたの仕業ね。田平茜!!!」
「ふふふ!!全てはあなたと田口圭一に対する復讐のためよ。圭一の父親のせいで私のお父さんは死んだの!
私のお父さんが何したっていうのよ!!!
なのに、、あいつの圭一の父親は、、正当防衛で不起訴処分ですって、、許せなかった。そう、、その時不起訴処分を下したのは水澤茜、、あんたの父親だったのよね。やっと見つけたわ!!!その為に私は脱法ハーブを手に入れる為にあんたの名前を使ってバーでバイトしたの。」
「あんたのお父さんが死んでしまったのは、、元々あんたが圭一に嫌がらせをしたからじゃない??
圭一は、あんたの事好きじゃなかったの。それをあんたはしつこくしつこく、、圭一に近づかないでとか、、話かけないでとか、、、一体あなたは何が目的なの??」
「あいつを田口圭一の周りの女を徹底的に痛めつけるの。そうすれば圭一は私だけを見てくれる。私の言うこと聞いてくれるから!!あははは!!!!!
あいつの顔、私好みなの!!
だから中学の頃からずっと好きだったわけよ。
ねえ、あんた、、あいつと仲良いんでしょ!!
一緒に帰ってたじゃん!!
何仲良く、一緒に帰ってんのよ!!!」
そう言うと田平は茜の髪を引っ張った。そして茜の顔を引っ叩いた。痛い。痛い。それだけじゃない。
茜の手を踏み付けると茜を蹴飛ばした。
「私のせいですって、、
何が私のせいよ!!
私はただ好きな人に告白しただけだったのに、許せない。幸せそうなあんた達が許せなかった。さあ、、
あんたに相応しい最後にしてあげる!!!
これであんたのその可愛いお顔、、」
その時俺はその倉庫に走ってきた。やっと間に合った。なんとしても茜を助けなきゃいけない、大事な幼馴染をこんな目に遭わせる奴は許せない。
「やめろ!!
やるなら俺を殴れ!!」
「圭一!!!!」
茜は泣きながら俺の名前を呼んだ。
「田平!!もうやめてくれ!!
ごめん!俺が悪かったんだ!!
でもお前は間違ってる!好きって気持ちは強すぎたらそれは間違った方向に向いちゃうんだ。俺は確かにお前を振った。わかってくれ。頼むよ。」
「そんな事はどうでもいいの!!あんたの父親のせいで私のお父さんは死んだの!あんたの父親が酒に溺れてお父さんを殴らなかったらね。あんた言ってたじゃない?あんたのお父さんはよく暴力を振るう人だったからしょうがないってね。私はあんたの父親を許さない。でもあんた事が好きな気持ちは変わらないの。今もずっとずっと好き。抱きしめて欲しいって思っちゃう。好きな気持ちが強ければ強いほど壊したくなるの。」
田平茜の本音が漏れた。田平茜という人間がどれほど田口圭一の事が好きだったのか。その気持ちは誰よりも強かった。気持ちが抑えられなければ無くなるほど行動はエスカレートしてしまう。他の人と一緒に歩いているのも話しているのも耐えられなかった。そんな田平の言葉に水澤茜はいてもたてもいられなくなったのか立ち上がった。
「笑わせないでよ。そんなの好きって気持ちじゃないよ!!
あんたは好きって気持ちを利用して圭一の事を弄んだだけじゃん、そんなの私が許さねえ!!
あんたの嫌がらせのせいであんたのお父さんが死んだんだったらそんなのあんたの自業自得じゃないの??本当に好きなら諦めなさいよ!!圭一にはゆりちゃんがいるの!!
もう無理なの!!諦めて、、私だって、、
あんたに教えてあげる!!恋愛っていうのはね、、本当に好きな人と結ばれるとは限らないんだよ。もしあんたが圭一になんかするっていうんだったらあんたの事なんか一生恨んでやるんだから、、」
水澤茜はそっと立ち上がって俺の腕を掴んだ。その時俺は初めて水澤茜の本音を聞いたような気がした。そうだ。茜はいつも俺に優しかった。昔から俺の事をよく知っている幼馴染であってあの時だって。
「茜、、」
「圭一、、情けないよ。あんた男でしょう、、こんな女なんかに負けないで、、シャキッとしなさいよ。私は絶対にあんたの味方だからね。何があってもあんたを傷つける奴は許さない。」
「そうだ!!田平、本当にごめん!!
どんなに謝ってもお前のお父さんは戻ってこないんだよな。
だけどお願いだから、、もう平和な日常を壊さないでくれ!頼むよ。本当に、、」
俺は田平に土下座をした。そうだ。田平のせいだって茜は言うけど本当は俺が誘いを断ったから、振ってしまったから。
違うんだ。違うって分かってる。でも。悔しいけど、俺の親父が全て奪ってしまったんだ。親父は俺の元を去った。
あんな酒ばっかり飲んでいる駄目親父だったのに最後の最後は俺の為に。
「じゃあ今私に、、、、して」
田平は小声で言った。聞き取れなかった。いやこんな状況でなんでこんなに声小さいのだろうか。
俺は土下座した状態から頭だけを上げて聞き返した。
「え???」
「だからキスしなさいって言ってんのよ!!
言ったじゃない!!!
私は、、あんたの事がずっと、、、ずっと好きだったんだから!!!最後にお別れのキスしなさいよ!!!!馬鹿馬鹿!!!そんな事言われたらこっちだって、、、」
「ちょっと圭一、、そんな女の言いがかりに乗っちゃ駄目なんだからね!分かってる??あんたにはゆりちゃんがいるんでしょ!!!」
「良い加減にしろよ!!田平、、お前は茜をさらって酷い目に合わせた上に、、ゆりの水筒に脱法ハーブを入れた。
お前みたいな頭おかしい女に惑わされる程俺は馬鹿じゃないんだよ」
俺は土下座の状態から立ち上がると田平の方に近づいた。
土下座していたのでズボンが汚れてしまった。
倉庫の泥がついている。
「そうよ!!あんたの事好きになる人間は全員私の敵なの!!あんたの事好きなのは私だけでいいじゃない??
そうでしょ??私は過去に縋る女!!」
「もう過去は戻ってこないんだよ。過去に縋ってもなんも変わんねえだろ!!過去に縋るくらいなら今を見ろよ。今を見て楽しめよ。俺なんかいつも可愛い女の子の下着の色が何色してるのかとか港区系女子の乳が何カップだとかそんなくだらねえ事しか考えてないんだからな。」
(なんでそこで港区系女子が出てくんだよ??
あー圭一、、あんたって、、やっぱりこいつは馬鹿だわ!!!)
その時誰か警察を呼んだのかパトカーの音が聞こえてきた。
警察が茜の居場所を突き止めたみたいだ。
「警察だ!!
田平茜!!!誘拐及び麻薬使用の容疑で逮捕する!!
大人しく出頭しなさい!!」
「ちょっと、、何すんのよ!!!
放しなさいよ!!!」
警察の手により田平は連行されてゆく。哀れだ。でも俺にはそう言う資格がなかった。俺は茜の方へ近寄った。
茜を縛っていた紐を解くと茜に言った。
「茜、、お前大丈夫かよ??心配したんだぞ!!」
「大丈夫だよ。ごめんね。心配かけて、一緒にコンサート聴きに行くはずだったのに散々な目にあっちゃったね。
戻ろう。ありがとね。いつも私の事助けてくれて、口じゃ言えないけど感謝してるんだよ。圭一は馬鹿だけどいつも優しくてさ、、あんたの事誰よりも私はわかっているから、、、
だからあんたも強くなんなさいよ。」
「そうだよな、、男なんだからそれくらい当然だよな。」
俺は自分を見つめ直した。確かに自分は弱かったのかもしれない。
「圭ちゃん」
ふと俺を呼ぶ声がしたので俺は振り返った。
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