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第71話 朱色のオーケストラ後編

お久しぶりです。いよいよ第4章に突入します。圭一の恋を巡り、有栖川最大の事件が起こります。


 本日のメインのチャイコフスキーの、テンペストが始まった。今回のコンサートのトリを飾る、チャイコフスキーの大曲であり、知名度はないがその規模の大きさから当時は絶賛された作品である。冒頭から静かに海を表す情景が演奏されてゆく。やがて金管楽器が力強い三連符を奏でてゆくと、雄大な序奏が展開される。

その間、ゆりはティンパニのトレモロを力強く叩いた。


(なんだろう。力強い、、力強くて海を現している情景なのにとても切ない。そうだ。ミランダの気持ちになってしまったら、そうだ。この音色の変化。いよいよ来る。船が沈む場面。)


序奏が終わるとテンポが一気に早くなってゆき嵐のような風景が情景される。その凄まじさにゆりは圧倒されるばかりであった。ヘ短調の山場が来るまでひたすらティンパニを叩き続ける。周りの客も一斉に拍手喝采を送る。

大音量で展開され派手に盛り上がったのちに美しい主題が奏でられる。


(この主題、、、ミランダとファーディナンドの愛の主題、、、思い出した。。これは、、太一が弾いてた主題だ。)


ゆりは太一と付き合っていた頃、太一がよくこのメロディーをピアノで弾いていたのを思い出した。

その時によく弾いていたのがチャイコフスキーのテンペストの第二主題であった。


「太一、、綺麗な曲だね。素敵なメロディ。なんて曲???」


「チャイコフスキーのテンペストさ。この主題は、、永遠の愛の主題なんだー。ゆりも聴いてみなよ。素敵な曲だから、、」


太一から勧められてこの曲と出会った。

そうだ。太一と出会わなかったらこの曲を好きになれなかった。この主題は、太一がいつも弾いていていたんだ。素敵なメロディだ。でも切なかった。太一との恋はこの主題のように掻き消されてしまったんだ。

しかし次の瞬間、ふと意識が遠のいてきてしまった。

ゆりはその場に倒れてしまった。一瞬音楽が止まった。何が起きたのか。


「宮野さん、、宮野さん、、しっかり、、、」


「おい誰か、彼女を医務室へ!!!」


意識が朦朧とした。そんな筈はない。私は、何もしていないのに。医務室に運び込まれた。

演奏会の途中でどうしてこんな事になってしまったのか。

訳がわからなかった。今朝、水筒を飲んだのか。

まさか水筒に何かが。


「は???」


意識が戻ったようだ。気がつくと医務室にいた。先生に圭一がいる。


「ゆり、、大丈夫だったか、、なあ??曲の途中で急に意識失ったから、、どうしたのかって、、貧血とかか。。」


「薬、、、昨日から緊張で大変だったから精神安定剤を飲んでいたの。だから、、薬の副作用で、、演奏会はどうだったの??私のせいで中止になったのかな??」


「ティンパニ不在のまま次の曲から再開したよ。もしかして水筒になんか入っていたんじゃないか??」


「え??嘘。。私、これ友達から貰ったお茶を水筒に入れて飲んだけど??」


その真実は俺田口圭一の人生を変える程であった。そしてこれが俺の人生史上最大の事件に繋がってゆくとは思ってもいなかった。


「その茶粉はどこなんだよ??」


「これ、、、」

ゆりは指指すと水筒を先生が調べ始めた。


「宮野、、これは茶じゃない。。脱法ハーブだ。しかも強力な。。誰だよ、、誰から、、渡されたんだよ。麻薬だぞ。」


「おいちょっと待て、誰に渡されたんだよ??」


「私に、、渡したのはこの子よ。」


ゆりはスマホを見せてきた。俺はその画面に映った人物を観て俺は驚愕した。


「こいつは???」



その頃、、1人の女子校生が、不敵な笑みを浮かべて歩いていた。その女子校生の元に男子高校生が近づいてきた。


「やってやったわよ。あんたに脱法ハーブを用意してもらって、、計画通り、、ゆりちゃんは、、麻薬の幻覚作用になって薬物まみれにしてやったわ。これで圭一は私の物。。。」


「悪い女だなあ。茜。。。。」


読んで頂きありがとうございます。次回もお楽しみに。

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