第64話 互いの気持ちのすれ違い
この作品はかなりリアルを徹底しています。
「太一、、、ごめん。今私彼氏いるんだ。ごめん。」
「そうか。またな。」
太一はそう言うとトイレから戻ったのだろうか、そのまま奥の自分の席へと戻っていった。だがその光景に秋山未央は気がついたのだろうか。俺は一瞬秋山未央から視線を逸らした。だが、未央は席を立つと俺達の席の前までやってきた。
「なんであんた達がここにいんのよ??」
秋山未央は、俺達の前に来ると怒るように言った。
「太一から聞いたわよ。ゆり、、太一があんたの元カノだったんだってね。金輪際、、一切太一に関わんないでよ。太一は私の彼氏なの!!田口、、あんた、、まだあたしに付き纏う気なの??」
「そんな言い方はしないでください。圭ちゃんに対してあなたは嫌がらせばっかりする。それだけで無く、私の元カレはあなたに浮気をして私と別れたんです。忘れた訳じゃないですよね。」
「何ですって!!あんたが振ったんでしょ。それを私のせいにしないでくれるかしら。大体あんたみたいに黒髪清楚な癖に、彼氏の事となると、うだうだ言い散らす、彼ピッピホイホイが一番むかつくのよ。大体何よ、、あんたに比べて私は経験豊富なのよ。薄っぺらい恋愛しかしてこなかったあんたとは違うのよ。嫌がらせですって私はそこの童貞の田口が気に食わないだけ。どうせ一回きりデートしただけで告白されたんでしょうね。そんな奴なんか所詮身体目当てだけのくそ男よ。何よ、、ほら、、ほら言い返せないんでしょ。これだから弱虫ね。あんたなんかに太一は幸せなんかにできるわけがないのよ。」
するとゆりは立つと未央の頬を引っ叩いた。
「あなたに圭ちゃんの何がわかるんですか??さっきから聴いてれば知ったような事言わないでよ。圭ちゃんは、、田口圭一は薄っぺらい男なんかじゃない。いつだって優しくて、弱い人や、優しい人の味方の最高の男よ。私の誕生日に私の好きなバックを買ってきくれたし、今日だって、明日朝早いのに夕食にだって誘ってくれた。それに私は絶対信じてる。浮気なんかするような人じゃない。早く消えてよ!!!!」
ゆりは激怒して未央に喧嘩を売るのであった。すると未央は逆上しゆりの胸倉を掴んだ。
「やめろ!!2人共もうやめてくれ!!!」
太一が2人を止めに入る。今にも殴り合いの大喧嘩になりそうだったけど店員が来て必死に仲裁に入る。俺も席を立つと、止める。
「なぁ、、これ以上喧嘩はやめてくれ!!頼むよ!」
「お客様、、周りのお客様のご迷惑になりますからお静かにお願いします!」
店員は、慌てて2人を引き離した。いわゆる修羅場だ。
こんな公のレストランで女子高生2人が喧嘩になったら明日有栖川になんて報告が行くのだろうか。
ゆりは耐えられなかったのか、そのレストランから出ようとした。待ってくれ。俺は必死に彼女の腕を掴んだ。
しかし振り払うようにゆりは出ていった。外は雨が降り出した。俺は追いかけた。レストランの外で雨が降る中、ゆりは立ち止まった。
「待ってくれ!!俺が話をつける。これは俺の問題なんだ。」
雨の中、ゆりは泣いた。雨が彼女の顔に降りつける。全部私が悪いんだと己を責めた。
「ごめんね。私が行けなかったの。太一なんかと喋っちゃったから、、もう私耐えられない。どうして太一があんな女の彼氏なのよ。秋山があの女が私から太一を奪わなかったらこんな目に合わなかった。あの日だって責めた。別れようって言われて太一が許せなくて!!!」
「ゆり!!!!!」
ふと後ろから声がすると、工藤太一が立っていた。俺は太一を睨みつけた。そうこいつのせいだ。こいつが浮気なんかしなければ、、そう思うと、、余計腹が立った。手を出したくなった。雨が降りつける中俺は、、工藤太一に怒鳴った。
「なあ!!あんた、、なんで浮気なんかしたんだよ!!ゆりちゃんの事捨てたんだよ!!あんたのクズな行動のせいで!!!
すると工藤太一は、下を向きながら、言った。
「うるさい!!好きじゃなくなったから振ったんだよ。何がいけないんだよ。ずっと好きでいられるほど俺は器用じゃないし、苦しくなったんだよ。ゆりは、、俺より優秀で俺はゆりに合わせなきゃいけないいけないってずっと思ってて、気づいたら彼女の気持ちに答えてやれなかった。俺は今まで自分より出来る人に合わせようと必死に頑張った。違ったんだよ。ゆりは全部俺に勝っている。完璧すぎて合わなかったんだ。それが振った理由だよ。」
太一はミュージカル俳優を目指して必死に頑張っていた。学校が多忙の中、ゆりとの時間を過ごす為に必死に時間を作って頑張った。でも声楽のレッスン、日々が忙しくて時間が確保できないと全てがどうでも良くなっていたのだ。ゆりとの恋愛が徐々に邪魔になっていった。自分は俳優として他人とは違う道に行く、それがプレッシャーとなった。ゆりは音楽を趣味として生きている一般人だ。これから芸能人になる自分とは合わない。価値観の違いがきっかけでぶつかる事もあった。
「苦しくなったって、、そんなの理由になんないよ!!私だって太一の気持ちに気づいていた。あなたと過ごしていくうちに何がいけなかったんだって必死に考えた。あなたには立派な夢があって私は応援してるつもりだった。でもあなたはその気持ちに気づいてくれなかったじゃない。夢なんか叶えてくれなくてもいい。ただ私と一緒にいてくれるだけでそれだけで十分よ。でも、、あなたは女遊びに走った!!所詮私も遊ばれてたんだって、、もう諦めたのよ。私はあなたには構わないって。」
ゆりと太一、お互いの気持ちがすれ違い。激しく降りつける雨は、そんな2人の気持ちをより際立たせた。あの日ゆりは見てしまった。太一と別れたくなかったが、もう私を捨てた。こんな男と一緒にいる必要はないと。
「俺は高校生だ!!なんだってわかる大人じゃない!!ガキなんだ!!!まだやりたい事だってあったんだ!!それにお前と遊んでたわけじゃないんだ!だからそれは誤解だ!俺は女遊びをしてたわけじゃないんだ!」
「いいよ!だからもうこれっきりにしましょう!あなたとはもう会いたくない!会わない方がいいのよ!」
ゆりの言葉には語弊があったかもしれない。そう叫ぶとゆりは走ってその場を去っていった
「待てよ!!」
俺は、必死に追いかけようとした。今止められるのは自分しかいないと強く考えたのだろうか。俺はゆりを必死に追いかけた。
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