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第63話 ゆりの元カレ

最近寒いと感じる。


 ゆりがオーケストラの演奏会を観にいっている間、俺は、家でスマホにLINEを送った。せっかくだし今日は2人で夕食を食べる良い機会だ。早くラインは来ないかなあ、気になってスマホを見るが、まだ返事は来ていない。大体コンサートが終了する時間は20時過ぎだ。俺は携帯ゲームをやりながらベッドから立った。

すると携帯のLINEの通知がピコンとなった。俺は携帯を見るとゆりから返事が来ていた。


(良いよ!!どこで食べる?)


俺はすぐに返信した。嬉しい気持ちで心がいっぱいになった。スカイツリーと映画館のデート以来、夜のデートをしていなかったから良い機会だ。俺は家を出た。自転車に乗り、レストランへと向かう。高校生の夕飯のデートスポットとしておすすめなのがこのお店新宿にあるお洒落なダイニングキッチンだ。今日はイタリアンな気分であったのでイタリアンレストランに入る。俺はパスタがすごく好きだ。だがその時そのレストランに見覚えのある人影を見つけた。それは生徒会副会長の秋山未央だ。


(秋山先輩、、、、やばい気まずいじゃねえか。なんであのめんどくせえあの人がこんなとこにいんだよ。)


俺は極力彼女と目を合わせないようにした。そうこの人はとにかくめんどくさいのだ。俺があの人の前でうっかり転んだ時だって変態呼ばわりして、ああまじで面倒くさい。球技大会で負けて以来何かと俺に当たりが強いのだ。お嬢様部にはゆりちゃんは顔を出しているそうだが俺は全く顔を出していない。まあ体験でしか行ってないしもう関わりたくないと思っていたのだ。


「お待たせ!!ごめんね。遅くなって待った?」


「いやいや全然。」


「しかしここ綺麗だねー。新宿にこんな美味しそうなお店あったんだ!私知らなかった。圭ちゃん!!何頼む??私はサラダとパスタセットにしようかな??パスタは、、そうだ。ソーセージのクリームパスタにしようっと!あとね、チキンとか、、シェアしようよ。せっかくだしね。」


「いいね。俺も腹減ったてんだよ。今日さ、なんか体育の授業で色々運動したからさ、とにかくお腹に溜まるくらいには食べようかな。」


若い店員さんがオーダーを受け取りに来てくれる。夜の薄暗くて暗い雰囲気に相まって、お洒落なジャズがよりお店の雰囲気を良くしてくれる。新宿のビルの3階にあって大人とか家族連れが来てもおかしくないようなお店である。


「ねえ、もしかしてセンスあるんじゃない?意外だった。なんか圭ちゃんのイメージってもっとミーハーなお店とか選ぶイメージがあったから。私、正直あまり期待していなかったっていっちゃったら申し訳なかったけど、でも良かった。夕飯ここで食べれるなんて、、圭ちゃんいつもつまらなそうな顔しているか平凡な顔だからさ。」


ゆりのちょっと毒舌の混ざった発言に俺は少し傷ついたが、それにしても意外とこういう事言う人なのかとか思ったからちょっと突っ込んでみた。いやだってさ最初なんか黒髪の長清楚の言う事全部癒しみたいな子かと思ったからさ。


「そんな事初めて言われたわ。っていうか意外、、そんな事言う人だったんだね。俺は自分で面白い顔だなあって思うけどな。それで今日はチャイコ聴いてきたんだっけ?」


「ねえ話題変えないでよー、私の話まだ終わってないから、それでね思ったの。平凡なようだけど、でもちゃんと見ているなあってでも、男としてなんか魅力は感じられなかったし、私のタイプでは正直無かった。でも理央ちゃんから聴いたの。正義感が強かった。守ってくれるって。それ聴いたら私も守られたいなって思っちゃって。」

俺は褒められた気持ちがしたのでつい自分の境遇を話したくなった。これが彼女の俺に対する気持ちなのか。そう考えると余計気持ちが強くなった。


「正義感か、、決してそこまで強い訳じゃないんだ。俺の家、離婚したんだけど親父が酒癖悪くてさ、妹2人に手を出そうとするんだ。親父の事止めようとしてたから、なんか、その分、正義感が人よりも強くなっちゃって。今は母親は親父の暴力に耐えられ無くて離婚したんだ。俺が中3の時、一年前だよ。だから今の主は自分なんだって思ったら、正義感とか強くなっちゃうのもしょうがないのかなぁって。」


「良いよ。本当に素敵だよ。そうやって優しくてきっと家族思いなんだろうなって思う。私なんか、元カレに甘えてばかりの駄目女だもん。恋愛に対する気持ちとか妄想したくなっちゃって小説とか書いたりしちゃって。私ね、いつかこういう本を書いてみたいって考えたの。シェイクスピアのテンペストみたいに船が沈没しちゃってそしてその沈没がきっかけで身分が違う2人が出会う。そんな話をね舞台はカスピ海とかどうなのかなあって、ヒロインの名前は朱理。私の好きな少女漫画から取ったんだよ。そこに人類を喰い尽くす悪い怪物が出てきてまるで御伽話みたいよね。」


「え???え????そりゃやばいなぁ。へえ、、いいじゃない??いつかそういうの書いて有名になったらいいと思うけど、でも妄想で膨らむもんだよね。そうやって妄想があるから現実の恋愛がうまく行くと俺は思う。きっとゆりちゃんはいい恋愛が送れると思うさ。俺だってあいつの事はもう忘れるって決めたんだ。」


「会わないで!!!二度と、、、今は私だけを見てほしいから、、、理央ちゃんは最低の女なんだよ。あなたの事をもて遊んだ。そんな女より絶対私の方があなたを大事にできる。ごめんね。もし浮気なんかしたら私はあなたを許さない。私の元カレは浮気したの。元カレは、、、、、」


「ゆり、、、、ゆりなのか????」



「え??太一????」


俺はふと横に視線を向けた。そこにいたのは、聖ヨゼフ学院の制服を着た身長175センチくらいのイケメンであった。俺は咄嗟に気まずい空気を察した。


「どうして、、、お前がここに???もしかして彼氏か????」


「太一、、、、ごめん。私の今の彼氏、、、2人で大事な話してたんだ、お願い、、あっち行って!!!」


ゆりの感情が昂っていった。どうやらかなり気まずいのを察したのかその太一と呼ばれた元カレは気まずそうにいなくなった。最高に気まずかった。そして納得したその浮気していた元カレがこの男だったんだと。


「ねえ、、、もしかして、、、、あいつがゆりちゃんの、、、」


「そう。私の元カレ。工藤太一。ミュージカル俳優を目指していたの。でも浮気して私を捨てた。」


「ちょっと待てよ。あいつは秋山先輩の彼氏だぞ!!!俺は見た事がある!!!」


「え?????」


ゆりは振り向くのであった。

秋山未央と一緒にご飯を食べていたのはゆりの元カレの工藤太一だった。

読んで頂きありがとうございます。

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