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男女'n Dungeon  作者: 凪沙一人
19/39

#19 ヘルゼンは愚れてる

「そうでもないぞよ。今のは… 」

「結論。チシャ姫は塔の上、お子様は隠し部屋と思われます。」

 説明をしようとしたリリスをコッペリアが遮った。

「今、妾が言おうとしておったのにっ! 」

「説明される場合は簡潔にお願いいたします。」

「冷たいのぉ。血も涙もないのかっ! 」

「はい。機械人形ですので。」

「ぬぬぬ。」

 どうもリリスはコッペリアと相性が悪いらしい。感情で喋るリリスと論理的思考回路のコッペリアが噛み合わないだけとも言えるのだが。

「いい加減にしろ、リリス。人質を捕られている以上、事は迅速に進めたい。チシャ姫が逃げない理由は分かったが、幽閉した奴の目的が分からない。ラプンクルスがカンパニュラ王子、ラプンツェルがチシャ姫なら、水の中のラプンシリスは誰だ? 幽閉した本人という確証もない。語呂合わせのフェイクもあり得る。」

 勇斗の話しを聞いていたローズが手を挙げた。

「なんだ、ローズ? 」

「水ん中ならラプンシリスじゃなくてランプシリスじゃないかなぁと思ってぇ。」

「そうかっ! 」

 今度はローズの言葉にリリスが手を叩いた。

「ラフィネスクめ、こんな所に居ったのか。」

「なんだ、知り合いか? 」

 勇斗に聞かれてリリスが語り出した。さすがにコッペリアも自分のデータベースに無い事には首を突っ込まない。ただ、話の腰を折る方が非効率と判断しただけでもある。

「ゴーテル・ラフィネスク。元は宮廷魔法使いでの。そこの似非魔女のアンナと違って、」

「あたしは魔女じゃなくて妖女っ! 」

「不要な揶揄は遠慮してください。」

 さすがにコッペリアも、リリスとアンナのやり取りに口を挟んだ。

「でじゃ、ラフィネスクは若返り魔法の研究に執着し過ぎて、本業が疎かになり解雇された。その後、風の噂で若返り魔法の鍵となる魔法の髪の少女を捕らえたと聞いたのじゃが。」

「ところで、どうしてランプシリスからラフィネスク? 」

「ランプシリスラフィネスクという淡水に生息する二枚貝が存在します。」

 データベースにある内容についてはコッペリアが説明した方が早い。

「って事はエクリプスじゃ姿が隠せないって事か。メイジー、クロス貸して貰えるか? 」

 すると意外にもメイジーが首を横に振った。

「わたし… 行く。」

 そう言うのが精一杯だった。

「しかし… 」

 何か言おうとした勇斗を白雪が遮った。

「分かったわ。私も行く。完全なスペクルムなら元宮廷魔法使いでしょうと、跳ね返せるでしょ。それで文句無いわね? 」

「仕方ないな。行くぞっ! 」

 三人が階段を駆け上がると、アリスとコッペリアが続き、コッペリアを追うようにハーメルンが続いた。

「何者っ!? 」

「久しいのぉ、ラフィネスク。」

 何のつもりか、最後に上がってきたリリスが前に出た。すると、すかさず白雪が襟を引っ張って下がらせ自分が前に出た。

「手間を掛けさせないで。」

「貴様は貧乏貴族のリリスか!? 手前の女のそれは… スペクルムか。ジャバウォックを倒してきたのか? 」

「当たり前じゃ。妾… 我らに掛かればジャバウォックなど、一捻りじゃ。」

 今度はリリスも白雪の後ろで吠えた。

「あんたは何もしてないでしょうが。」

「その声は妖女アンナか!? 全く面倒な奴らが、何故ここに!? 」

「そんな事より、チシャ姫とその子供を返してもらおうか。」

「よく見ればスペクルムだけではない… 七宝を揃えたのか!? 」

「どうじゃ、観念せい。」

 白雪の後ろでドヤ顔のリリスをラフィネスクは睨み返していた。だが、それ以上の抵抗はしようとしなかった。

「手ぶらの性悪女二匹くらい、怖くもないが七宝が揃ってるってのは相手が悪すぎる。もう少しで長年の苦労が報われる筈だったのに… 。」

 そう言ってラフィネスクは肩を落としたが、リリスとアンナは食いついた。

「すると若返り魔法の完成は近いと?」

「勇斗、ここは魔法の完成を待ってから… 」

「子供の隠し部屋は何処だ? 」

 勇斗はリリスの嘆願をスルーした。

「貴様には女の気持ちが分からんのじゃ。お前も何か言ってやれっ! 」

 リリスは周りを味方につけようとしたが、振った相手が悪かった。

「私は保守不要メンテナンスフリーの機械人形なので老化も老朽化も無縁です。」

「うぬぬっ! 」

 コッペリアはリリスたちからすれば、既に不老不死と云うことになる。

「今、上の部屋を開けたから、チシャを連れてくるがいい。」

「リリス、王族同士だろ? 行ってこい。」

「な、こういう時だけ王族扱いしおって… 。」

 文句を言いながらもリリスがチシャ姫を迎えに行った。

「先にチシャ姫を解放するのって、何か理由がありそうね? 」

「ほぅ。鋭いな。実はチシャの息子のヘルゼンめ、やさぐれたと云うか愚れたと云うか。こっちも子育てなんかしたことないし、自分の子でもないから、適当にしてたら、とんでもなく不良に育ってしまって正直、手に負えなくなっていたのさ。」

「なんですってっ! 」

 突然、上の階から長い黄金色の髪を引き摺ってチシャ姫が駆け降りてきた。

「こっちの計画は、おじゃんになってしまったからね。厄介者は返してやるよ。」

 ラフィネスクが何やら操作すると壁の一部が音を立てて開いた。

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