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科学コラム  作者: もりを
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豆知識 原子爆弾のおまけ

アインシュタインがご存じの「E=mc2」を世に送ると、すぐに科学者たちは新型爆弾の可能性を議論しはじめた。

この有名な式は「質量と引き換えに、とてつもないエネルギーが発生する(元素が崩壊すると、破壊的な放射線が出る)」と言ってるんだ。

そこでまず目をつけられたのが、自然界に存在する最も大きな元素であるウラン(原子番号92)だ。


ウラン原子核に中性子をぶつけて吸収させると、ベータ崩壊の絡みで電荷が不安定になり、分裂・・・すなわち爆発する。※1

その分裂で、新たにできる複数元素に巻き込まれずに余った2個の中性子が飛び出す。

この2個がまた隣のウラン2個にぶつかると、二倍の爆発力が得られる上に、4個の中性子が飛び出す。

あとは8個、16個・・・倍々ゲームでウランが分裂していき、中性子が吐き出されつづけ、果てしなく爆発が増殖する。

これが核爆発の臨界状態だ。


ところが、ウランにぶつける中性子のエネルギーが弱いと、ベータ崩壊(による核分裂と爆発)は起きない。

起きないとどうなるか?・・・というお話を、今日はしてみる。


ウランの原子核は、92個の陽子とたくさんの中性子でできてる。

陽子と中性子とは、電荷が違うだけのうりふたつの兄弟で、たまに入れ替わったりする。※2

核分裂爆発は、原子核に飛び込んだ中性子が陽子に変身して、92人乗りの船に93人が乗り込む形で不安定化するために起こる反応だ。

だけど爆発に至らずに踏みとどまると、シンプルに93人乗りの船が出来上がる。

つまり、自然界に存在しなかった元素(原子番号93)が生まれるんだ。


ウランは「ウラニウム」と言い、元素のいちばん端っこという意味で、土星の外側をめぐる天王星「ウラノス」から名前をもらってたんだけど、その外側にも海王星「ネプチューン」ってのがある。

そこでこの新しい93の陽子を持つ元素は「ネプツニウム」と名付けられた。

さらにだよ、このネプツニウムに中性子をぶつけてみると、そいつも陽子に変身して、原子番号94の元素ができちゃうんだ。

名前をつけるなら、海王星の外側をめぐる冥王星「プルートゥ」からもらうしかない。


つわけで、原子番号94の「プルトニウム」は誕生したんだ。

こちらの原子核も不安定で、核分裂にチョー向いてるやっべー元素だ。

しかもこのプルトニウムは、ウランからはじまるベータ崩壊の過程で、爆発させればさせるほど、こぼれ出るように生成されちゃう。

なんて忌まわしいことだろう。


戦争と兵器開発は、最先端科学をいちじるしく進ませる。

そういえば、ニュートンさんの微分積分と万有引力の法則も、大砲の弾道計算から生まれたんだった。

爆弾研究の裏で、こんな文明の進展が起きてたとは皮肉なことだ。


・・・ってお話でした。

政治思想関係なしに読んでもらえればありがたい。


※1 この際に質量欠損が起き、その失われた質量がE=mc2によって純粋エネルギー化される。

※2 中性子がベータ崩壊を起こすと、電荷0から電荷+1の陽子に変身し、勘定合わせのために電荷−1の電子を吐き出す。

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