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第四話 学内対抗戦とは

説明だけです

 薄暗い照明が灯っている体育館――闘技場とも呼ばれる――に、俺含む一年生の全生徒が集合していた。

 小隊編成から一週間。未だ不明瞭な学内対抗戦についての説明を学園最強の小隊、生徒会がしてくれるからだ。

 そんなわけで体育館にやってきてはや一時間。窓は閉められている上に人が密集しているため、非常に蒸し暑い。


「暑いな……」

「誰でもわかってるわよそんなの」


 何気なく呟いたつもりだったのだが、答えが返ってきた。

 顔を向ければ神崎さんが両手を組んで俺の事を忌々しそうに見ている。


「……なに?」

「別に。イライラしてるだけよ」


 じゃあそんな敵意丸出しの目でこちらを見ないでいただきたい。

 居心地が悪いから。


「あのさ、神崎さん」

「何よ」

「やっぱり同じ小隊なわけだし少しは仲良くするべきだと思うんだ」

「馴れ合いはごめんだわ」


 おお、もう……。

 それだけ呟いた神崎さんは俺から視線を逸らし、緞帳が下げられたままのステージを見つめた。


「遅いな、生徒会……」

『お待たせしました、これより生徒会による学内対抗戦についての説明を行います』


 呟いたと同時に、体育館上部に設置されたスピーカーから声が流れてくる。女性の声だ。


『あまり硬くならなくても結構ですよ、ふふ……』

 

 聞こえてきた声に身を硬くする生徒達を見ているのだろう、女性の声は俺達を安心させるように穏やかな物だった。

 だが、次の瞬間にはその声の余韻も一瞬で吹き飛ぶような野太い声が聞こえてきた。


『一年生共、礼節は弁えろ! 生徒会長がお許しになろうとも、副会長である私、武田たけだは絶対に許しはせん!』


 な、何なんだ……。


『ちょっと、武田さん。頭ごなしに叱りつけていては育つ物も育ちませんよ』

『会長は黙っていてください。私には私のやり方がありますので』

『いいえ黙りません。まだこの学園の特性に慣れていない一年生達を脅かすような真似はやめてください』

『脅かしている訳ではありません。これは必要な教育で――』

『一年生より生まれたのが一年早いだけのあなたが何を言いますか。もう良いです、あなたは下がりなさい。これは会長命令です』

『ぐ……』


 こんな会話が聞こえ、最後に武田副会長とやらの舌打ちを残してスピーカーからの放送は途絶えた。

 会長と副会長は仲が悪いのだろうか。話を聞く限りでは対立しあっているが……。


『先ほどは見苦しい所をお見せしてしまいました。申し訳ありません。それでは改めて生徒会による学内対抗戦の説明会を行います』




 生徒会長の声がまた聞こえ、同時に今まで降りていた緞帳が上がり始めた。

 紅の布で隠されていたステージに立っているのは、四人の男女。

 俺達の制服とは違う、全体が鋭角的な特別な制服を身に纏う彼らは圧倒的な存在感を持ってそこに存在していた。


(あれが……生徒会か)




 威厳を持って直立する彼らを見て、俺はただ純粋に格好良いと思った。




「こんにちは。生徒会長の剣雪乃つるぎゆきのです。三年生なので皆さんと接する期間は短いですが、それまでどうぞよろしくお願いします」


 鈴を転がすような声で会長が言った。

 腰まで届きそうな長い銀の髪。顔はまるで西洋人形の如く整っていて、肌はその名の通り雪のように白い。 

 どこからどう見ても美少女だ。男子生徒のほとんどが彼女に見とれている事からそれは頷けるだろう。

 ……ほんと、美少女が多いよこの学園は。


「学内対抗戦については本来なら武田さんが説明するのですが、生憎彼は退場させてしまったので私が説明しますね」

 

 「準備を」と会長が短く周りの隊員に伝えると、まずは体育館の照明が落ち、ステージの中心にプロジェクターのスクリーンが現れた。




「学内対抗戦、これは我が校独自に組まれたカリキュラムの一つです」


 レーザーポインター片手に会長がスクリーンに映し出された内容を説明して行く。


「既に先生方からの説明が行われているとは思いますが、もう一度説明します。

 学内対抗戦、通称戦争は一クラス四十人の生徒を五人一組の小隊に分け、小隊同士でその力を競い合う物です。

 敵となるのは自分のクラス以外の全小隊。時には上級生や、私たち生徒会も皆さんの前に壁となって現れるでしょう。

 小隊同士の対戦は生徒会がコントロール、戦力や条件、全てが平等になるように企画します」


 生徒会が実権を握っていると言う訳か。


「小隊同士の対戦には、それぞれルールが設定されます。

 一番オードソックスなのはフラッグ撃破。各陣地に設置された旗をいかに早く破壊できるかを競う物です。

 その他にもかくれんぼを応用した物や、隊長と隊員一人の計二人だけで出撃、女性だけで出撃など設定されるルールはさまざまです」


 なかなか深い物だ……。


「勿論戦争なわけですから、武器が支給されます。とは言っても、ウレタン製の打棒などなんですけどね。

 後は子供のおもちゃを利用、改造した狙撃銃などでしょうか。これらの説明はまた今度説明するとして……、次は戦争の回数ですね。

 この学校に体育という授業はありません。全てこの戦争が取って代わっています。

 戦争はおよそ一日かけて行われますから、つまり少なくとも一ヶ月に一度は戦争があると見てもらっても良いでしょう。

 その他、各種イベント時にも戦争は行われます。

 一学期中は特に無いのですが、二学期はイベントが目白押しです。秋季体育祭、文化祭、冬季体育祭等でしょうか。他にも色々あるんですけど」


 ず、随分とたくさんイベントがあるんだな……。


「一学期中はこのシステムに慣れる為に戦争の回数は少ないですが、二学期からはどんどん増えていくので肝に銘じて置いてくださいね。

 そして次は……、戦闘場所についてですか。

 舞台となるのは学園内のすべての場所です。教室だろうとお手洗いだろうと関係は無いです」


 なんてフリーダムな。


「これが最後の説明ですね。

 小隊の戦績を学期末に集計、最も高い戦績を残した小隊はクラス代表として学内トーナメントに参加してもらいます。

 このトーナメントに勝ち進み、見事優勝の栄冠を手にした小隊は最終決戦、私たち生徒会と戦う権利を得ることができます。

 生徒会との戦いに勝利した小隊長は生徒会の仲間入りを果たし、隊員たちも色々と優遇されるのでぜひとも打倒生徒会を目指して頑張ってくださいね」


 と言う事は会長含めステージに立っている生徒会メンバーは皆生徒会を倒した小隊長なのか。

 生徒会に入るためには小隊長で無ければならない……って、俺もやろうと思えば生徒会に入れると言う訳か……。


「長くなってしまいましたがこれで学内対抗戦の説明は終わりです。ご静聴ありがとうございました」


 優雅な仕草で深々と頭を下げ、会長は生徒会のメンバーと共に部隊袖へと消えていった。


「……生徒会、私にはぴったりよね……」


 神崎さんが何か呟いていたけれど、気にしないことにしよう。

生徒会長も関わってくる予定です。

プロットは出来ているのに文章にできないというもどかしさ……ああ。

文章についてアドバイスがあればお願いします。

自分の勉強にもなりますので

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