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0.5(警察官)

長いです。

時系列が少し前後します。

今回の話は0の少し前から1の少しの前の話になります。

私の名前は熊野 巌(くまの いわお)

河野区瀬良木署(こうのくせらぎしょ)の捜査一課に配属され、一月ほど前から起きている連続血溜まり事件を任されている。

今まで起きた連続血溜まり事件件数は11件。1件目と2件目は同じ週に、2件目と3件目はその翌週、4、5、6件目は翌々週、先週は4件も起きた。

およそ一月の間にこれほどの件数、そして犯行頻度が上がってがいるにも関わらず、把握できている事や証拠が乏しい。失踪届から絞り込もうとしたが、ここ半年ほど瀬良木署で扱う届出が激増しており、この一月に当たっては30を優に超える。

人物に統一性はなく、家出と思われる思春期の少年少女からボケから来る徘徊の末の可能性のある90代後半まで様々だ。

ただ、発生日時はだいたいが夕方から深夜にかけて起こる事が多いと分かっていたためその時間に在宅もしくは複数人で居たかどうかに絞ってもみた。しかしいい成果は得られなかった。


現在は発生場所がこの地域一帯の少し人通りがあるくらいの路地で起きている事、被害者の存在は明らかなものの、その生死が不明である事、そして何よりも大量の血液による血溜まりとその主が性別以外不明である事などの共通性が認められる事からかなりの確率で同一犯の犯行として捜査している。

被害にあったであろう人物の性別は、男女男男女男女男女女男という順で最初は無差別と思われたが恐らくは半々になるように行われていると今なっている。

捜査に有用な情報も証拠品も少ない事からパニックを防ぐ為、また模倣犯を防ぐ為にも捜査は未公開の為公にはなっていない。


最大の有力な証拠能力を持つと思われた数人の目撃者の証言は正直使えるか分からなかった。

皆一様に広角に泡を溜めながら猫の化け物が出たと取り乱したように口を揃えて言うのだ。暗闇に浮かぶ猫の化け物で目撃者を見つめて口が裂けているんじゃないかと思うくらい口角を吊り上げ嬉しそうに鳴き声を上げた。と。


そんな馬鹿なとそれらの証言の内容はさほど重要視される事はなかったが、口裏合わせの様子も無さそうな事から何らかの薬品やトリックなどを使用してのオカルト的な思想を持った者の犯行という線で現場の捜査を徹底的に行ったが、オカルトに付き物な魔法陣や謎の記号など何も見つからなかった。


本来であればDNA検査も性別以外にも色々分かるはずなのだが、何やら被害者の血液が少量の割合でしか検出されない事、また被害者の血液以外の物も入り混じっているせいかエラーが起こり詳細な判定は不可能だったそうだ。

せめて入り混じっているのが何か解析出来れば対処のしようもあるのにと科警研が零していたと聞いている。極秘で別機関での検査も行ったらしいが同じ結果だったらしい。


極秘で別機関でと聞いた時はいくら特異性を備えた事件とはいえ、異例な事だと驚きながらもその結果に期待が膨らんだが結局は何も分からなかったと聞いて酷く落胆をした。


それなのに空飛ぶ城の一件の翌日。謎の血液が多数の動物のものであることがわかったと科警研から連絡がきた。なぜ今頃?と思わなくはなかったがはっきりいってそんな事はどうでもよかった。

これでやっと捜査が進むのだから!


そして半ば直感めいたものだったが、もしやと科捜研に再度依頼しその翌日に何度目になるか分からない現場の調査を行う。

すると、あんなに調査したはずなのに血溜まりのあった周囲の至る所に血痕の痕跡があり、それらは血溜まりを縁取るように複雑な記号と紋様を描いていた。そしてそれらは今まで現場となった場所全てで同様に見つかった。

通常であれば前回の調査後に行われたと考えるのが妥当であろうが、私はこれが犯行当時もしくは犯行前に行われたと直感した。


一歩進んだ喜びからその日の内に終わった今までの事件現場の再調査結果を確認しその直感は確信と変わった。

すでに処理されている血溜まりに沿うように描かれた記号や紋様は血溜まりが処理された後に追加するのは難しい。機器を使えば出来なくはないが現場はいずれもそこそこ人通りのある場所だ。人目につかず不定形な血溜まりに沿うように描き、尚且つ怪しまれないよう後始末をするのはほぼほぼ不可能に近い。

犯行の起きた現場付近のパトロール回数は増やしているにも関わらず、これらの痕跡を残すような状態や不審人物なども目撃されていない事は確認した。

これらの事から翌日の捜査会議にて現場発見前に描かれていた可能性に重点を置き可能性として現場発見後に描かれたとする両方の線で捜査を進める事を提案し、そしてその方向で動く事となった。




現実は上手くいかなかった。

これで更に犯人に近づける!そう思っていたのだが、証拠となるはずの血液サンプルが無くなったとの連絡が入る。科警研の物はもちろん念の為にと預けておいた科捜研の物も極秘で別機関に送ったという全ての血液サンプルが。。。


前代未聞の大不祥事に現在厳重な箝口令とかなり大掛かりな捜査が入っているという。


残念ながら自分にはその捜査には入れない為煮え繰り返る思いをコネというコネを使う事に当てなんとか捜査内容を少しだけ入手できた。だが、その内容にはただただ落胆するだけだった。

せっかく出た結果も捜査の参考にはなるだけとなってしまった。紛失してしまっては証拠としての信用性がなくなってしまう。これでは最悪被害者が見つからないまま事件が解決したという事態にもなり兼ねない。

ギリッと奥歯を噛み締め悔しさと憤りを抑え込むことしかできなかった。




その情報を流されたのは紛失から3日後の朝だった。

情報を流してくれた人物は険しい顔をしながら、事件は捜査方針が改めて決まった日の夜に起こった事、監視カメラには事件解決となるような物は何も映っておらず、犯行当日の日中にサンプルを検査に使う為に出して改めて保管し、翌日にもう一度サンプル調査を行う為に取り出そうとしてそれがない事に慌てる様子が映っているだけだった事を教えてくれた。

合わせて今回の事件は少なくとも個人ではなく大きな組織が関わっている事を示唆している事、下手をしたら国レベルの相当な力を持った組織であろう事も話をされた。そして先日の空飛ぶ城の件にも関わっている可能性が高い事も。

この事には熊野も同意である事を話し、なんとしても犯人を突き止め被害者を見つけ出すと意気込んだ。


その日の夜、朝に情報を流してくれた人物が今すぐ会いたいと連絡を取ってきた。何やら尋常じゃない様子に慌てて待ち合わせ場所に急ぐ。そこには焦燥感を漂わせかなりやつれた様子で視線を忙しなく動かしている姿があった。

1日でこんなに変わるものかと驚き思わず凝視し、情報を貰ったことがバレたかと話を切り出そうとしたが、相手はいきなり私の胸ぐらを掴み、お前の身も危ないと一言いいながら、くしゃくしゃになった紙を胸ポケットにねじ込み急ぎ足で熊野から離れていった。


後を追いかけ事情を聞こうと思ったが、先ほどの様子から自分も監視対象に入っている可能性を考え追うのをやめた。


署に戻り誰にも見られないようくしゃくしゃになった紙を胸ポケットから取り出す。そこには紛失現場に動物の毛と思われる物が残されており、それは人間と狼の特徴を持つDNAであったことが記載されていた。

次回も熊野サイドからの話です。

時系列は3から5の少し後の予定です。


改稿箇所1

結果を聞いた時は特異性を備えた事件とはいえ、異例な事に驚きながら期待が膨らんだが何も分からなかったと聞いて酷く落胆をした。

極秘で別機関でと聞いた時はいくら特異性を備えた事件とはいえ、異例な事だと驚きながらもその結果に期待が膨らんだが結局は何も分からなかったと聞いて酷く落胆をした。


改稿箇所2

根拠も証拠もないただの勘である為大っぴらにその方向で捜査は進められなかったが、前回の事件からそう日数も立っていない。現場付近のパトロール回数も増やしているにも関わらず、これらの痕跡を残すような不審人物なども目撃されていない事から、犯行前と犯行後の可能性の両方の線で捜査を進める事となった。

根拠としてはすでに処理されている血溜まりに沿うように記号や紋様が書かれている事だ。全ての現場で不定形な血溜まりに沿うように描くのはほぼ不可能。それに前回の事件からそう日数も経っていない。

犯行の起きた現場付近のパトロール回数は増やしているにも関わらず、これらの痕跡を残すような不審人物なども目撃されていない事から、現場発見前に描かれてていた可能性に重点を置き可能性として現場発見後に描かれたとする両方の線で捜査を進める事となった。

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