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「駄目だ全然出来ない。」


りんごを仔猫に与えてから、咀嚼音をBGMに粉を操ろうと意識していたがサラリとも動かない粉に何が悪いのか考え試行錯誤を繰り返す。


仔猫のエネルギーやことほぎのエネルギーはそれぞれそこにいるなという感じで感じる事が出来る。これはちょっと超人気漫画の龍玉っぽい。

ただ、探ろうする事は出来るが弄ろうとすると反発のようなものを感じたのでちょっと怖くなってやめた。


(これは一体どういう原理なんだろう?)


探るのは直感的な力と言っていたな。

それを主人自体のエネルギーの持つ特性として捉えた場合、俺のエネルギーを意識してちょちょいと弄るようにすればもしかしていけるのだろうか?

よくラノベで魔法は想像力が大事って言ってるし、俺のエネルギーをMPとして捉えて意識するといいのかもしれない。


「まずは自分のエネルギーを探ってみるか」


瞑想するように意識を自分に集中させて自分のエネルギーがどういう風になっているか探る。


(これかな?)


ちょっと触れたら壊れそうなガラスの彫刻みたいなエネルギーの枠の中にこれは確かに自分だと思えるエネルギーを感じる。さらにその中に強いエネルギーを感じたのでそこに意識の糸を伸ばすように深く探る。


「グッ……ハッ……」


糸が触れたと感じた途端、強いエネルギーに飲まれそうになり一瞬気が遠のく。

まるで強い光の中で自分を見失うような感覚だ。

恐らくはこれが俺の持つエネルギーなのだろう。

問題はこれをどう扱うかだ。


だが、扱う前にまずはこのエネルギーに飲まれないよう、この力を使いこなすと言う意志を持ち続けられるようどれくらい意識を保てるか…

トライアンドエラーで頑張ってみるしかないか。


「ぐぅ…ッ!」


「グハァッ!」


「ハァハァ…!」


「ぬぅぅんっ!」


意識が飛びそうになりながらも何度も試し行くうちに少しずつコツを掴んでいる実感が湧いてくる。

最初はエネルギーに触れれるかどうかだったのが段々と奥の方にまで行けるようになっていくのだ。

それが楽しくて調子に乗って何度も繰り返ししているとすぐ近くにで「ハハハ」という笑い声が聞こえた。驚いて周囲を見渡す。少しして気付かない内に発していた自分の声だったと分かった時にはかなりおかしなテンションになっている事に気付き一度休憩を入れる。


「ふぅ…」


つい楽しくて夢中になってしまった。

そのせいかなんかクラクラする。まるで車酔い一歩手前みたいな感じだ。エネルギー酔いとでもいうのかしらん。


そうだ、仔猫でも見て癒されよう。

そう思い、いつに間にか静かになっている仔猫に目をうつす。


「は?」


そこでは大きな猫がバスケットの中で眠っていた。

見間違いじゃないか一度眠っていることほぎを見てからもう一度仔猫を見る。


「おぉ???」


見間違いじゃなかった。

バスケットから溢れんばかりというか溢れている大きな猫がいる。

仔猫はどこに行ったのか、そもそもこいつはどこから来たのか…?

一応念の為、これがあの仔猫だったりして?と探ってみるとエネルギーの大きさは違うものの、暖かくてがっしりした感じは間違いなくあの仔猫であると確信させられる。

いつの間にか焼きりんご風になっていない生りんごまでなくなっている。

という事は…


「まじかよ、りんごパネェな」


それ以外に原因が見当たらない。

まぁ、やばい事になっていないならいいかと、当初の予定通り猫を見て心を潤す事にする。

スヤスヤと眠る猫はとてもリラックスしているようで、時折尾を振りながらニャゴニャゴと寝言を洩らしている。


「コレはもう仔猫じゃないな。大猫だな。」


大猫は毛がフッサフサのモッフモフで虎のような模様がベースの黒よりもより黒く浮かんでいる。首の所が一番モフモフ。確かメインクーンがこんな感じだったような気はするが、模様はどうなんだろう?


「ふわぁぁ…、ダメだ眠い。寝よう。」


猫のついて考えてたら気が緩んだのか一気に疲れが出てきた。猫を起こさないようにそっと床にバスケットを下ろし、俺は体をベットに沈めて眠りに入った。


+++++++

++++

++


それからどれくらい眠ったんだろう?

目が覚めた時には外は明るく、ことほぎはまだ眠っている。猫は…


「あれ?猫がいない!?」


どこに行ったのか分からないが領域の中ならすぐ見つけられるだろうと思い家の中を探すが見つからない。


「もしかして外に?」


玄関はちゃんと締めた…は…ず……?


「あ…」


ことほぎが割った窓があった!!

もしかしたら屋根に登って降りれなくなってるかもしれない。

急いで二階のガラスの割れた窓から覗いてみる。


「うーん、これは無理かなぁ?」


窓には足場のようなものはなく、とてもここから屋根の上に行ったとは思えない。念の為上の方に首を向けてみたがそれっぽい鳴き声も姿もなかった。


(そう言えば降ってきたガラスの片付けをしていないな)


そう思い下を見ると、ガラス破片はキラリともせず全く見えなくなっていた。


「見えないだけかな?猫が怪我をするといけないから片付けなきゃな。」


ついでにここから下に猫が見えないか確認してみると、りんごの木の下でりんごを食べている誰かがいた。


「は?え?人???」


唐突な客人とその客人が勝手に人の家の物を食べてると言うのと色々な驚きが合わさり動揺してしまう。

こんな時はとりあえず落ち着いてことほぎにどうしたらいいか聞いてこよう。


「(ヒソヒソ)こ、ことほぎさーん!お客様がお見えですよー!」

「ムニャムニャ、そんなわけ無いじゃないですかー。ここはまだ無名な領域ですやぁ…。」


答えが返ってくるのと同時にそのまま眠りについてしまった。こうなっては仕方がない。念の為、まだことほぎにくっついていた箒を手に取りりんごの木に向かう。


「こ、こんにちは、初めまして。お客s……」


言葉を最後まで言うことが出来なかった。

そこに居たのはのは明らかに人外だったからだ。

猫のような耳に猫のような尾。

その特徴はあの日に見た猫又に類似していた。




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