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「「………」」


俺たちは今、炭化した塊の側でソレを見つめていた。

ソレを見つめお互いに目を合わせまたソレを見つめる。

ことほぎの瞳は元に戻っていた。


風で表面の炭が流されていくが、全てがそうやって流されて行くにはまだまだ時間がかかりそうだった。


「なぁ、これなんだと思う?」


手に持っていた火かき棒で恐る恐るつつきながらことほぎに聞く。


「わ、分かりませんー。主人さまに悪意がある者は中に入れないはずなので、コレも例外ではないはずですー」

「んー、物なら入る事が出来たりする?」

「それも出来ませんー」


ならコレは安全なのかな?

でも、元が元だからなぁ。


「どうしよう?どうするのが一番いいと思う?」

「えーっと、えーっと。取り敢えず壊して外に出しちゃいますー?」


そうだな、ここに置いといて変な事になっても困るしな。


「よし、じゃあそうしよう!ママダンプみたいなのがあればいいんだけどさっき見た限りはなかったからなぁ。とりあえず俺が崩しておくからことほぎはちりとりとほうきを持ってきて」

「がってんらじゃー!」


颯爽と家の中に向かうことほぎを見送り、火かき棒で崩して行く。ボロボロと崩れ落ちて行き風で黒い空間へと流されて行く様は気持ちがいい。

調子に乗って少し強めにつんつんすると、炭ではない肉の感触が俺を襲った。


「ひっ!!」


強めに突いたのが良くなかったのか、俺が刺激を与えなくても炭の中にいる何かが動き出す。

全身が総毛だち思わずベットに沈み込んで思いっきり叫ぶ。


「こ、ことほぎさーん!!なにか!何かが居ます!たすけてー!!」


俺の絶叫を聞きつけ羊が急いで降ってきた。

二階の窓ガラスを割って…。


「…ガラスのシャワーだ。なんちゃって。」

「主人さまー!どうしたんですかー!?」


ガラスと一緒に降ってきたことほぎは、毛にチリトリを絡ませ、角にホウキに付いている紐を引っ掛けて急いでやってきた。


「ことほぎさん!この中になんか炭じゃない奴が…!!!」


バリリリッ!!


言い終えるが早いかどうか一瞬にしてことほぎの瞳が細くなり雷を落とす。きっとコレが戦闘モードという奴なんだろうと察するが早いか雷が降ってきた。

命中率が低いため炭じゃなく俺をギリギリの所で掠めた雷。

それが何度か繰り返される。

ようやく炭に命中した頃には、炭の中で動いていたものなんてもうどうでもいいと思えてしまった。


「……あの、ことほぎさん。お気持ちは嬉しいんですが、せめて俺が家に戻ってからとかそういう感じに出来ません?」


戦闘モードを解除したことほぎについ零してしまう。


「も、申し訳ありませんー。つい…」


しょんぼりと頭を下げることほぎ。

分かってる。

ことほぎはそんなに悪くないんだ。

一生懸命やってくれた。


「いえ、俺も切羽詰まった感じだったんで気が回りませんでした。次からはお互い気をつけましょう。」

「はいですー。」

「それと助けてくれてありがとう」

「……!!」


お礼を言うとことほぎの目からブワッと涙が溢れ出した。

多分、嬉しかったのかな?

そんなことほぎの頭を撫でようとした時小さな声が聞こえた。


「…?」

「ニャー…」


今度ははっきり聞こえた。

場所は炭の中からだ。


ことほぎは即座に戦闘態勢に入り、角を光らせてバリバリ言わせている。

そんなことほぎを手で制し、とりあえずベットから降り1mくらい浮かせてから下に潜り込む。

その状態で声のする炭の塊をつつこうとすると、ソレはモゾモゾと動き出し中から何かが出てきた。


「ニャー…」

「仔猫?」

「子猫ですー」


ソレは黒い子猫だった。

まるで産まれたばかりのように目は閉じたまま尻尾をピンとさせ、おぼつかない足取りで歩こうとしている。後ろ足で。


「ニャーニャー」

「「………」」


再びお互いに目を合わせ、アイコンタクトで意思の疎通をはかる。

とりあえず様子を見ようという俺の意思がうまく伝わり、ことほぎの戦闘モードが解除される。

俺は再びベットに乗りうつ伏せで仔猫の様子をことほぎとともに見守る。


立とうとしては後ろに転がり、仔猫特有のプックリしたお腹を見せる。


「ヒソヒソ(主人さまー、何か感じられますかー?)」

「ヒソヒソ(いや、全然。)」

「ヒソヒソ(相手を探ろうと意識を集中してみて下さいー。何となく分かると思いますー。)」


言われて仔猫に意識を集中する。

うーん、なんとなく仔猫のエネルギーっぽいのを感じる。

小さいけど暖かくてフワフワしてると言うよりはがっしりした感じ?

周りにも何かあるな。

感情っぽいけれど、これは…驚きと不安か?攻撃的な感じはしないけどこれでいいのか?


ことほぎに感じた事を伝えると今度は仔猫に触れてみるように言われ、転んで仰向けになっている仔猫の腹を触る。

触れた拍子にビクッとしてたが、大人しくそのまま寝転がっている。


「ヒソヒソ(どうですか?攻撃的な意思や騙そうとしている意思は感じますかー?)」


言われてもう一度意識を集中する。


「ヒソヒソ(大丈夫だ、そういういったものは感じない。どちらかと言うと安心しているようだ)」

「ヒソヒソ(それでしたら大丈夫ですねー!今タオルとバスケットを取ってきますのでその中で寝かせましょー。)」


そう言ってことほぎはゆっくりと静かに家の中に戻っていきバスケットの中にタオルを敷いて戻ってきた。

俺は仔猫をその中に入れ、腹に抱えるようにして持ちながらことほぎと共に家の中に戻る。

炭は仔猫を持ち上げたら一気に崩れて、全て風に流されていった。

DQB2をプレイ始めました。

その結果、領域の管理方法等が考えていた内容と同じ部分があったので少し変えるかこのまま行くか考えます。

その為更新が遅れます。

申し訳ありません。

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