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目を瞑って考える事をやめた翌日、ベッドの上で俺は宮司から領域に向かうまでの簡単な説明を受けている。羊は涙を溜めるという禊の最中なので安心して話を聞ける。

ちなみに羊が脱出しようとすると、周囲に浮かぶ球からビームのようなものが発射されそれを阻止している。


「繋がりを持てた主人という存在が領域を持てる事は以前ご説明したと思います。今回はその主人や領域について簡単なご説明をさせて頂きます。詳しい事は領域に着いてからあの羊に聞いてください。」

「羊に?あの、宮司さんは?」

「私は今訳あってこの場所を離れられません。なので領域に向かいそこで生活するのは貴方と羊だけです。訳についてはご説明する部分にも関わって来ますので合わせてお話し致しましょう。」

「え?ちょ…ちょっと待って下さい!」


ポンコツどころか害獣レベルの羊と二人で過ごす!?

しかも宮司はいない!?

想像できな…したくない!!


「お気持ちはお察し致します。私も心配で胃が痛くて仕方がありません。しかし領域は主人と主人と繋がりを持った者の場所。両者を守ろうとする独自の力が働くので動きに支障が出ないくらいになれば大丈夫かと思います。」


パニクる俺に優しくそう言ってくれた。

後半部分に目が泳ぎ少し声は小さくなければきっと俺はもう少し元気になれたと思う。


「あの、繋がりって…消す事は出来ないんですか??」


今まで静かだった禊中の羊がそれを聞いてミノムシのように暴れ回る。気付かなかったが口に縄がされているな。何か言いたいのかウーウー言っているが、すぐに球から発せられるビームで沈黙する。


(派手に動いたせいかビーム数が多かったな)


そんな感想を抱きながら宮司の返事を待つ。


「繋がりを切り、消す事は可能です。ですが、今そうすると貴方の存在が消えます。」

「そんな…何で…!?」

「そちらも合わせてご説明致します。」


問い詰めようとすると俺を制止する。

その表情は読めない。


「この場所は人の世界で言う神界と呼ばれる場所に通じる場所です。この場所に来れるのは神や神の使い、仙人やその弟子など限られた方々で、それ以外の方がここに来るとその存在がこの場のエネルギーに飲み込まれます。」

「飲み込まれる?」

「えぇ、そうです。あらゆる存在はエネルギーを持ち、摂取、消費しています。ですが、神ともなるとそれだけでなく無意識レベルで超高エネルギーを作成、放出します。その為、中にはエネルギーを摂取する必要がない神もいます。また非常に強い意志を持っており、その意志はエネルギーにも反映されます。神界はそんな意志やエネルギーが高密度で満ちています。今の人の言葉なら気圧や水圧、重力と言ったものに置き換えると分かりやすいかも知れません。それなりの自我を持っていないとその意志やエネルギー圧で圧死状態となってしまうのですよ。」

「………?」


えぇっと、なんか凄い場所って事は何となくわかったが、理解が追いつかない。おしくらまんじゅうで死ぬような感じなのか?


「分かり難いですか?では、強キャラの放つオーラに圧倒され恐慌状態となった弱キャラがエネルギー弾で消滅するような感じ。しかも強キャラは無意識レベルで。もしくは廃課金の中の無課金と言えば分かりやすいでしょうか?」

「なるほど、よく分かりました。」


マジかよ、神界ぱねぇな。

そんな神界に近い場所に俺みたいなのがいて危なくないのか?

というか、宮司も課金ゲーとかするんだな。

しかし、この話の流れから察すると…


「もしかして…?」

「はい、神界の近くにあるこの場所も神界程ではないにせよそれなりの意志やエネルギーがあります。先程上げた方々以外にここに自我を持った状態で存在する事が出来るのは繋がりを持った主人(あるじびと)だけです。」

「あー…」


羊としか繋がっていない俺が羊との繋がりが無くなると消滅するのか。

前門の羊に後門の消滅。

今消滅するよりは少しでも消滅しない可能性がある羊の方がマシなのだろうが、今までの被害を考えると未来が見えない。


「あの羊は仮にも神獣ですから、ドジさえっ!踏まなければ力強い友としてお役に立つはずですよ?」


目から光を失った俺を慰めるようにそういう。

最後が疑問系だったな。


「力強すぎて消滅しちゃいますよ、ははは…」

「そ、それは…多分繋がりが持てた嬉しさとこの場所のエネルギーに中てられてちょっと制御が効かないだけなんだと思います。普段私と過ごしていても…あ、いえ、何でもありません。」


羊を擁護する宮司を胡乱げに見つめると最後は言葉を濁した。すると、宮司と場の雰囲気を読んだのか、目が覚めた羊がまたウーウーと騒ぎ出しそして沈黙した。


「さ、さぁ、気を取り直して早速ご説明致しましょう!」

「………」


二人でそんな羊を見つめた後、何事もなかったかのように説明が始まった。


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