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あれから検査入院の3日間も終わり俺は無事に職場へと復帰した。周りに色々と質問されるかと少し気構えていたが上司との簡単な面接で仕事に労いと支障がないか聞かれただけで他は後は何もなさそうな感じだ。

…約1名現在進行形で色々聞聞き出そうとしている奴がいるが。

ちなみに今の状況としては以前と同じように昼休みのあまり時間で奴から新発売の菓子を頂戴している。


「先輩、通り魔なんて本当なんですか??面会謝絶なんて聞いてたからヤバイのかと思ったら怪我もなくピンピンして出社してくるし。」

「なんだ、俺がピンピンしてる事が残念な出来事のように話してくるな。ていうか、通り魔にやられたとか普通に知ってるんだな。樹蔭君以外誰も何も言わないから知らないのかと思った。」

「やだなぁ、元気でいてくれて嬉しいですよ?」

「おい、なぜ疑問形なのか問いただしていいか?」


なんだか以前にも増して相変わらず失礼な奴だが多分これが彼なりの優しさなのだろう。確かに誰にも何も言われないからちょっとした気まずさがあったのは確かだ。気分的には無断でズル休みして何も言わずに出社したのに華麗にスルーされているような…そんな感じだったのだ。


「ははは、誰も何も言わないのは多分かなり溜まっている仕事をこなさなきゃいけない先輩を慮っての事じゃないですか?知らないけど」

「知らないのかよ、まぁ、確かにかなり溜まってたな。急ぎの案件が無いのが本当に救いだよ。珍しく君のところからの依頼の案件があったのも確認したから午後イチに済ませておくよ。」

「ありがとうございます!実はちょっとだけ心配してたんですよ。あの案件があったんで万が一でもやって貰えないとなったら今度の合コンにいけなくなる可能性が……」


そこまで聞いて俺は残りの菓子と飲み物を全て樹蔭君の手の届かない所まで移動させ独り占めの体制を整えた。

俺があんな目に遭っていたというのにのんきに女の子と楽しくいちゃつく会だと?けしからんな、全くもってけしからんな。


「あ、あの、先輩??」

「安心しろお前の菓子は俺が残さず確実かつ早急に処理をする。」

「し、仕事の案件は?」

「そうだな、この飲み物はトラックの運ちゃんの持っているラベルと中身の色が一致していない神聖な物と交換しておいてやる」

「……?」


何を言っているのか理解できていない樹蔭君をおいて俺は席を立とうとすると理解が追いついたのか少し元気になって


「嫌ですよ!そんなのおっさんのなんて全然神聖じゃないし、嫌がらせじゃなくていじめですよ!というか、仕事は…あの案件はやって貰えるんですよね?」

「そんなに喜んで貰えて嬉しいよ。うん、安心しろ、きちんと中身の見えない袋に入れてもらうからな」

「いりません!そんな気遣いいりません!!」

「そうか、さすがは魔法使いだな、俺とは年季が入り方が違うって奴だな」

「違います!そもそも魔法使いの資質は既に捨てましたし!?」

「そうだったのか、すまない、既に魔法戦士の域にまで達していたとは知らなかったよ。いや、もしかして賢者の方か?さすがの俺も会社ではちょっと……」

「昼間っからなんて事言い出すんですか!?合コンなんてのは冗談ですよ、元気がなさそうな先輩を冗談で和ませようとしたちょっとした気遣いの後輩ジョークです!」

「冗談?」

「そう、冗談です!本当にすみません!謝りますからとりあえず座ってください!お願いします!」

「そうか、冗談でもどうかと思ったが、今後の菓子のワンランク上に上げさせて下さいとまで言われちゃ仕方がない。」

「僕そんなこと言ってませんよ?」

「HAHAHA、謙遜するな。あると思った仕事の案件が減ったんだ、喜ばしいことじゃないか」

「もはや会話にすらなってない!?ていうか、案件は減ってませんからね?!ねっ!?お願いしますよ!」


あまりの必死さに若干引いてきたし、そろそろ許してやるか。


「大丈夫だ、まだザッとしか目を通してないが、あれだったら今日中にはできると思うぞ」

「なんか勝手にドン引きしている雰囲気出してますけど、ドン引きする内容の話をしてるのは先輩の方ですからね、あと、話を戻しますけど、みんなが先輩に何も聞かないのは昨日の朝会や連絡メールで先輩には何も聞くな、普段通りに接しろっていう内容のが周知されたからだと思いますよ?」

「俺はただ樹蔭君の期待に応えただけなのに。。。。まぁいいや、仕事を後に回せばいいだけだし。しかし、そんな連絡があったのか。通りで誰も何も言わない訳だ」

「先輩、本当お願いしますからね、今晩は僕が6割出しますから」


なんだその中途半端な数字はと思いながらも昼休みが終わる時間であることに気付き、今夜一緒に飲む事を約束して仕事に戻った。

樹蔭「あれ?お菓子…?」

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