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「確証が無いのなら俺は入院せずに普通の生活に戻りたいと思います。」


そう伝えた時、気まずげな表情は驚きに変わり納得したような色々混じった複雑な表情になった。否定的な言葉を紡ごうとしていた口はかたく閉じられ心なしか悔しげにも見える。


「分かりました。そうですね、、確かに、、、仰られる通り今回のことに関しては確証があるとは、、言えませんからね。申し訳ありません。」


色んな考えがあるのだろう。言葉を詰まらせながらそう答える気持ちは何となく理解できる。普段は市民を守る側なんだ。多少の無理を押してでもそれを遂行する側だ。「大丈夫です。我々がしっかり警護します」建前でもそんな事が言えない理不尽でこんなおかしな出来事に、しかも事件に関する重要人物との接触が絡んだ状況に対して手をこまねく状態となっては悔しくもなるだろう。

もしかしたら保護するよりも普段通り生活して囮のようになってもらった方がいいと考えているのかもしれない。

俺としては接触してきてほしく無いし、あの出来事をなかった事にしたい。そんな事を思いながらもう一つ気になっていた事を質問する。


「そう言えば先程お話にあった他の目撃者の方々ですが、今はどうされているんですか?やっぱり保護されている方が多いんでしょうか?」


その質問が予想外だったのか言おうとした言葉を飲み込んだのか少し間が空いてから回答があった。


「その事ですが、どうやら柊さんが目撃した猫又のようなものとはまた異なるようです。詳しい事は…今更ですが言えないという事で…。ただ、他の目撃者の方々は柊さんのように冷静ではいらっしゃらなくて…。さきの猫の化物という事以外どうにも要領を得ない話ばかりなのですよ。また、次回などと言った不穏な会話の話も無かったことから特に保護などといった対応は取っていない形になりますね。」

「という事は、他にもああいった存在がいる可能性が高いという事ですか?」

「頭の痛い事にその通りです。あくまでも個人的見解ですがね。警察の正式な見解となるとまだそのようには言えないのですが。」

「そうですか…。分かりました。」


聞きたい事は全て聞いたのか話はこれで終わりのようで、後は今回の件はまだ未公開である為、関係者以外には通り魔に襲われたという説明がなされている事からそれに合わせて欲しいと言うお願い的な物と何かあったらここに連絡をという名刺を置いて去って行った。


話す表情は落ち着いた表情で特に違和感はなかった。

話の中では少し引っかかる所はあったが。話さないという事はきっとそういう事なのだろう。そう例えば、どうして俺に保護を申し出たかだ。

俺が倒れてから時間が経っていた為目撃していた可能性が高いというだけで保護を提案するだろうか?どうして詳細を話せないと言いながらも証拠紛失なんて言う大問題になる話までしてくれたのか。先程から急に頭が冴えてきたせいかなんだか気になることが多すぎる。多すぎて色々疑問が浮かんできては消えてうまく言葉に出来ないまどろっこしさを感じる。こんな事は初めてだ。


そうそう、去り際に奇妙な神社がある事を教えてくれた。動物専門という変わった神社らしく、落ち着いた時にでも厄祓いにでも行ってみようかと思う。


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