第18話 地球人収容所
どうしよう? R18ではないだろうけど、R15くらいはあるかな?
あまり大人数で出て行っては見つかってしまいかねない。葛城と水波はやや遠いところに置いたままで、浦賀・敷島は彼女を連れてその場所へと向かう。意外と近いようで徒歩10分足らず。敷島は身軽そうに木を登って向こうを見る。
「敷島っ。あったか」
「伏せてろ。見つかるぞ」
浦賀は敷島の指示に彼女と共に地面へと伏せる。
「あれは高校か?」
「はい。みなさん高校に閉じ込めらています……」
「とはいっても、なんか大きな乗り物がグラウンドに止まってるし、見張りもうろうろしてるし……連れていかれる人間の姿も見えるな。確かにこれは収容所だ」
異様な光景である。建物自体はどこにでもある高校である。決しておかしなところはない。だが広いグラウンドに止まっている大きな乗り物は、そのサイズは20メートル以上。大きさからして地上を移動してきたと考えがたいものであるが、いわゆる航空機とするには翼もなければプロペラもない。あれが『飛ぶ』とは到底思えないが、今まさに離陸したことからして飛ぶ乗り物であるのは間違いない。
さらにその学校の周りには銀色の銃のようなものを手にした人型の何かがうろついていた。正門のあたりをなんとか乗り越え逃げ出そうとする男の人もいたが、すぐに捕まり連行されていく。
そんな普通の高校ではない高校の姿を目にしていたが、推定視力2.0以上の敷島が何かに気付く。グラウンドの隅に何かの山がある。ブルドーザーのような、はたまたトラックのような乗り物がその近くに行って何かを積み上げる。
「ん、なんだあれ……うっ」
目を細めた敷島だったが、『それ』に気付いた彼はすぐに木から飛び降りた。
「敷島?」
浦賀の驚きもよそに彼は気分悪そうに口元を押さえる。
「絶対に見るな。あれはやべぇ」
「ど、どうしたんだよ」
「あそこは収容所。それも『実験動物の』だ」
「実験動物……まさか!?」
浦賀もそれを聞いて分かった。
つまり人体実験に使う人間の収容所。敷島が見たのはさしずめ、実験後の残骸と言ったところであろうか。『実験体の残骸』とはつまり……
「い、いったん戻ろうか」
士気を削がれてしまった敷島は浦賀のその提案に頷き。
彼女に聞けばそこでどのようなことが行われているのか、いったいどのような生活を行っているかは分かるだろう。しかし敷島自身がその目で捉えたその事実は、誰の目も言葉も介さない生の情報である。まさしく生々しいものであったのは言うまでもない。
ひとまず離れた場所にいる葛城・水波の元へと戻った3人であったが、彼らの意気消沈した様子に残留組の2人も状況を察したようである。
「どうでしたか? 助けられる見込みは」
敷島に聞きづらいと判断した葛城は浦賀に問い、水波も彼の言葉に耳を傾ける。
「う~ん」
しかし彼も答えづらそうにしている。正直に答えたいところはある。だが助けを求めに来た彼女のことがある。彼女は自分自身が助かりたい思いで助けを求めたというよりは、今まさに捕まっている人たちを助けてほしいと言ったように感じた。彼女と一緒に捕まっていたのは、友人・知人や家族なのだとしたら、そこで正直に答えるのは少々残酷である。
「……少し、作戦を練ろう」
自衛隊でも在日米軍でもいいから保護してほしい。だからこそ今は一歩でも先に進みたい。自らの命を優先したい思いの中でわずかに人間としての理性が働いた。それがその前に進みたい思いを留まらせた。




