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第17話 敵の正体

 救援要請が来るのは想像に容易いものだった。なぜなら同じような状況に置かれた自らも、助けを求められるなら求めたい立場であったからだ。しかし一方で予想外であった。みんなが捕まっているという点である。


「捕まって……あっ」


 その一言に敷島が気付く。


「収容所が近くにある?」


「収容所?」


「あぁ。第2次大戦中なんかもあったが、捕虜や国内の外国人なんかをぶち込んでおく収容所ってのがあったんだよ。ちょっと性質は違うけど、ドイツにあったのなんか有名だろ」


「よく分からないけど、それって……」


「日本人の収容施設があるってことか?」


 状況をいち早く理解した敷島が彼女へと問いかけると、彼女は間髪いれずに頷いた。


「これはそこで付けられたってこと?」


 浦賀が首輪を小突きながら聞くと、これに対しても頷いた。


「……逃げてきた。か」


 直接話には関わっていないが葛城と、放置されていた水波も状況を理解した。この近くには『敵』による地元民収容施設があり、そこに捕らえられていた彼女は何らかの手段で逃げてきたということである。そして偶然に九州脱出を図る彼らと合流に成功した。


 と、収容所に気付いた敷島に続き、浦賀がふと閃く。


「あれ? もしかして、『敵』の正体って知ってたりする? どこの国とか」


 そうなのである。彼らは『敵』としていた者たちの正体を知らない。どこかの国の特殊部隊だとか、地底人だとか、はたまた宇宙人だとかありえない方向に話が膨らんでいるくらいだ。もっともあの人類離れした見慣れない兵器を用いていれば当然ではあるが。


「い、いえ。まったく言葉も分かりませんでした。英語でもないし、中国語っぽくもないし」


 彼女はそう口にするが、それだけで外国の部隊ではないと判断はできない。それら以外の国の言語かもしれないし、英語圏・中国圏の部隊であっても恐ろしく訛りがあるだけと言われればそれも納得がいく。だが彼女のそれに続く言葉がその可能性をわずかに否定する。


「でも、なんだか人間っぽくないんです」


「人間っぽくない?」


「なんといえば分からないですけど、人間じゃないんです。それにUFOみたいな乗り物とか、光線銃みたいな武器もちらつかせて」


 それを聞いた敷島は少し視線を落として考える。


「これマジで宇宙からの侵略かよ。まさか宇宙人がいるとはな」


 その彼の発言に周りのメンバーがざわめく。まさか本当に宇宙人がいるとは。そんな奴らが攻めてくるとは。と予想外の発言の連続だ。だが一方で敷島はその推測が本当であった場合、今後の方針が狂う可能性を考えてた。


 なぜなら人類はいまだに地球外知的生命体の存在を認識していなかった。


 一方で敵の『宇宙人』は人類を見つけ、最低でも日本の九州を制圧できるほどの大部隊を地球に送り込んでいる。


 この時点で技術力の差は明らか。仮に他国による救援が得られると仮定しても、援軍か来るまで平和主義非戦国家日本が持ちこたえることができるのか。もし戦線が押されているのだとすれば――中四国地方にまで戦火が及んでいるとすれば、自分たちが完全に敵中に孤立する。


「おい敷島」


「あ、あぁ。ごめん、考え事してた。何だ、浦賀」


「いや、ちょっと見てこないかって」


「何を」


「収容所を。聞いた話だとここから割と近くだって」


 浦賀の意見に首を縦に振る敷島。


 変に仲間が増えればそれだけ敵に勘付かれる可能性も高くなるだろうし、統率だってとれなくなる。だからこそ「助け出そう」とはあまり思わないが、情報や物資を得られるならそれにこしたことはないのである。


「えっとじゃあ、みんなで……」


 落ち着かない様子で提案した水波ではあったが、浦賀や敷島の返答はあまり肯定的なものとはいえなかった。


「収容所ってことが本当なら、敵もある程度はいるってことだしな。あまり大人数で行くのはよろしくないと思うな」


「敷島の考えに賛成かな。ひとまず何人かだけ選抜しよう」


「はい」


「え? あ、うん」


 しっかり返事の葛城と、相変わらずはっきりしない水波である。


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