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第15話 市街地、再び

 敵に見つかることもなければ、野生動物に襲われることもなく、無事に迎えた2日目の朝。欲を言えば1日歩き続けたことによる汗を流したかったが、こんな場所にシャワーや風呂などなく、あえて言うなれば小川があるかもしれないくらいだろうか。


 限りある食料に不安を抱きつつ、大きな荷物の中から朝食を取り出し口にする。一挙手一投足に戸惑いを感じる朝であるも、浦賀と敷島は2人で地図を眺めながら戦略を練る。ただなんにせよ詳しい場所が分からず、一切のメディア情報が入ってこないのが辛いところだ。


「ある程度、目途を付ける目的でちょっと市街地に近づいてみる?」


「市街地に? 危険じゃないか?」


 浦賀の提案に敷島は難色を示す。しかし、


「いや、市街地に出ようってわけじゃなくて、見えるところに行かないかってこと。ランドマークでもあれば、だいたいの場所は見当がつくかなって……」


「なるほど……鉄道や道路、川なんかでも、線形さえ分かれば場所の検討は付くな……」


 今、彼らが手にしている情報と言えば、昨日、だいたいこれくらい歩いたという感覚。客観的なものと言えば、方位磁針が示してくれる方角くらいのものである。


「で、市街地がどっちかっていうのは?」


 と、敷島が問う。すると声がしたのは上の方。


「向こうみたいですね。木が多くてはっきりは分かりませんが、ビルが見えます」


 2人が顔を上げると、そこにいたのは木に登った葛城。彼が指さす先を確認して敷島が方位磁針に視線を落とす。


「北西。北に向かうにはちょうどいい……のかな? 距離は?」


「分からないです。でも恐ろしく遠いってわけでもないかと。1キロ、2キロくらいでしょうか?」


「ありがと」


「どういたしまして」


 葛城は数メートルあろうという場所から飛び降りてきれいに着地。身軽な男である。


「それくらいなら1時間もかからないしいいのでは?」


 葛城からの情報元に敷島は肯定的な意見。このペースなら目的地までだいたいこのくらいであろうという検討はついているが、やはり詳しい位置情報からの詳細な計画は立てたい。


「自分も賛成です」


 そして自らの目で目的地を確認した葛城も。


「水波は?」


 これで4人中3人の同意は得た。あと1人、1日風呂に入っていないことで臭いが気になっているのであろう、自分の腕を嗅いでいる水波に視線を向ける。


「私は……はい。私も」


 そして彼女もやんわりとした肯定。彼女にしてみればわざわざ危険な場所に向かうことは怖いのだが、他3人と別意見を出すのも怖いというもの。彼ら自身、別に圧力をかけたわけではないが、これが同調圧力とか集団心理とかそういわれるものなのであろう。


「さてと。それじゃあ、今日のひとまずの計画はそれでいいかな」


 浦賀のまとめに男子2人はしっかり、水波は小さく頷いて肯定の意を示す。これをもって本日の方向性は決定。


「あっ、でも」


 そんな中で水波が小さく手を上げる。


「できたら、汗を流したい……かも」


 彼女の提案に浦賀は他2人に問う。


「川あるかな?」


「どうだろ?」


「どうでしょ?」


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